東京・新宿〈珈琲西武 本店〉の新宿特製オムライス
寄稿・今泉力哉
洋食屋という洋食屋はあまり知らないので、純喫茶なのだが驚くほど訪れている喫茶店〈珈琲西武 本店〉のオムライスをお薦めしたい。
今日だって本当は珈琲を飲みながら脚本を書かなければいけない。締切が迫っている。でも今日中ってことは今日の二十三時五十九分までですよね。ということは、まあ明日の朝まででいいってことですよね。みたいな調子でいつも書く手を休めておかわりの珈琲を頼む際に、「あ、オムライスも」と注文してしまう。
どうおいしいかを説明するのは難しい。オムライスですからおいしいですよ、そりゃ。あ、私は唯一バターが食べられないのですが、このオムライスには調理過程で確実にバターが使われているんです。バターの味がします。でもそれが、バター嫌いの私でも許容できるバターの風味と申しましょうか。
苦手だからこそ繊細にその味を感じ取れる、そしてもちろんバターが大好きな人がいることも想像できるあのバター特有のバター感を苦手なりにおいしく味わえるそのぎりぎりの感じがここのオムライスにはあるのです。
まあオムライスはおいしいですから、どこで食べてもある程度はおいしいでしょう。でもこの〈珈琲西武〉のバター香るオムライスを脚本に追われながら食べるあの時間の至福が私にはとても特別なのです。一度ぜひ食してみてください。あ、バターを一切使ってなかったらごめんなさいね。
