〈konel〉の水餃子
イタリアンの最高食材、ポルチーニの香り高き水餃子
辿り着くのが困難な隠れ家なのに、常に賑わっているのはおまかせコース7,700円〜の内容に毎回驚きと感動があるから。“こねる”に由来した店名通り、パスタもパンもシェフの菊池隆樹さんが生地をこねて作る自家製だ。軸になるのはイタリアンだが和や中華のテイストを取り入れており、おでんと水餃子は人気の定番メニュー。
その水餃子、具材は豚肉やポルチーニ、飴色に炒めたタマネギ、そして食感のアクセントに切り干し大根という自由さ。肉汁と香りとコクと食感が詰まった餡は、ショウガやニンニクを入れず味つけは塩とコショウのみながら存在感十分だ。タレはバルサミコポン酢とチリオイル、とこちらも独創的。注文は1人2個まで、なのが切ない!
〈La Rêve〉の手羽先餃子
“小料理屋”がコンセプトのフレンチの餃子は唯一無二の味
「小料理屋の要素を取り入れたいと考えて、辿り着いたスタイルなんです」とシェフの加田俊介さんが語るだけあって、ビストロでありながら「ぶり大根」や、カウンターに並ぶおばんざいが人気。中でも「手羽先餃子」は、飽きがこないようにと「赤ワイン煮」「フリカッセ」「焼き」の3種を日替わりで提供する熱の入れようだ。
見た目はまるで居酒屋で見かける手羽先餃子だが、下ごしらえから仕上げまでフレンチの技法を駆使し、れっきとしたフランス料理の趣。餡のベースは、豚挽き肉と大量のマッシュルーム。そこに、味つけごとに異なるハーブやエシャロット、トマトのコンフィなどを加える。鶏手羽そのものの味わいと、それぞれの餡とのマッチングがお見事!
〈菜道〉の菜食棒餃子
“まるで肉!”なヴィーガン餃子はからだ思い、かつサステイナブル
ヴィーガンレストランだから肉は使われていない、と頭では理解していても舌が納得しない。そんな混乱を来すくらい、この餃子の餡は、手切りした肉そのものの食感!それを実現すべくシェフの楠本勝三さんが駆使しているのが「OMNIミート」。
今世界中が注目している、栄養価が高く環境に優しい植物由来100%の代替肉だ。シイタケ、白菜、タケノコ、ザーサイと合わせ、調味料や工程を変えた2種類の餡を、動物性食材&アルコール不使用の自家製皮で包む。一口で食べられないようにあえて長めの棒状にし、モチモチの皮とギュギュッとした餡の咀嚼(そしゃく)を楽しませる。食べ応えがあるのにもたれないギルティフリーの餃子は、ニューノーマルになり得る予感が。
〈Niru〉の鴨と人参の水餃子
“煮る”がテーマのジャンルレスなビストロは、水餃子も秀逸
モロッコ、タイ、イタリアン、アジアンなどさまざまなレストランで働き、世界各国の料理を食べ歩いた店主・佐保秀郁さんが作るのは“煮る”をテーマにし、自然派と日本のワインに合う料理だ。京都をイメージして考案したという「鴨と人参の水餃子」は、粗く不揃いにすりおろした生のニンジンの食感と香りを存分に楽しめる。
食べ疲れないさっぱりした餃子を追求し、ニンニクは入れずに調味料もオニオンパウダー、ジンジャーパウダー、塩の3つに抑えた。その餡を、水飴入りの薄めの皮で包み、沸騰した湯に数分泳がせてからタレの代わりにパプリカオイルをかければ「こんな餃子、食べたことがない!」と、誰もが唸る水餃子の完成だ。
〈東山KAN〉のすっぽん焼餃子
「スッポン餃子、食べたことある?」と誰かに教えたくなる、未体験の味
変わり餃子は数あれど、スッポンを使った餃子はかなりレア。しかも青森〈東北すっぽんファーム〉から届く掛け流し温泉で育ったスッポンを、店でさばいてスープをとり、その身をたっぷりと使った贅沢仕様。26年前のオープン以来、落ち着いた空間で味わえる上質な酒肴が人気のカウンター和食ならではの逸品だ。
餡の材料は、主役のスッポンを引き立てるべく、岩手「純和鶏」のむね肉と長ネギ、塩のみ。それを浅草〈開化楼〉のもち粉入りの皮で包み、焼き面をカリッと焼き上げる。しっかりとした食感のスッポンの身やゼラチン質の「エンペラ」も入った噛み応えのある餡から旨味が溢れ、インパクト十分の味わい。フルーティな日本酒との相性抜群だ。