餃子坊 豚八戒(阿佐ケ谷)
ミシュランビブグルマン獲得、薄皮に巨大エビが透ける
旦那さんの香山謙吾さんがマネージャー担当、中国黒竜江省哈爾濱(ハルビン)市出身の陳培霞さんが調理を担当する夫婦二人三脚のお店。陳さんは、毎年里帰りして“現在”のハルビンの餃子店を食べ歩いては、研究を重ねているそう。
〈豚八戒〉で出している数種の水餃子も、昔ながらの厚皮ではなく現地のお店で主流の薄皮を使用。ただ、もち粉を混ぜているので、プリプリした舌触りの良さとモチモチ食感なのが特徴だ。「明蝦餃子」は、餡の底に大きなエビを忍ばせており、噛むと“プリッ”の上をいく“ブリッ”と音がする。そこに、豚肉・長ネギ・シイタケの旨味が絡みつく、上品で贅沢な一皿だ。
盛苑(武蔵小山)
ムサコのセンベロ立ち飲み中華で見つけた高級店の味
中国広東省広州出身のご夫婦が経営する、中華立ち飲み〈盛苑〉に最敬礼したい。80種類超あるメニューは、すべて本格中国料理にもかかわらず、値段は150~450円という、信じがたいほどのお値段。
「にら水餃子」も、武蔵小山価格だからといって抜かりなし。強力粉でモチモチに仕上げた皮は、もちろん自家製。豚肉2:野菜1の割合で練られた餡をギュッと包んでゆで上げれば、高級店の味。噛むと、肉汁と白菜の甘いジュースが混ざった旨味スープが溢れ出し、噛むたびにニラが香る。“儲からないよー。けどお客さん喜ぶ=私の喜び!”と語る店主・羅国雄さんから優しい笑顔が溢れていた。
上海小吃(新宿)
エキゾティックな店内の風情にいやが上にも心躍る
雑然とした歌舞伎町の裏通りに居を構える異国情緒たっぷりのロケーションがなにより魅力的。店頭に足を運んだ時点で、星1つ分の満足が得られる上海料理の老舗店。提供される料理は上海蟹やワンタンといった基本的なものから、昆虫食という好奇心を刺激するものまで多種多様。
水餃子は上海料理には含まれないというが、中国東北地方出身のシェフと共に開発しただけあって本格的な仕上がり。大ぶりなサイズで存在感があり、白菜と豚肉のジューシーな風味は、豆板醤(トウバンジャン)と唐辛子をベースに山椒とニンニクを加えたピリ辛のタレと絶妙な相性。黒酢だけで、さっぱりいただくのもまたおいしい。
餃子百珍 一味玲玲(八重洲)
具材を替えて楽しむもちっと食感。タレはつけずにどうぞ!
新橋界隈で名店として愛される〈一味玲玲〉の5号店として2021年にオープンしたのが〈餃子百珍 一味玲玲〉。中国遼寧省大連市生まれの店主・神山玲さんの「季節によってメインの具材を替える現地の食べ方で楽しんでほしい」との思いから、ハクサイ、セロリ、レモンなど19種類を取り揃える。
脂身と赤身のバランスが良い富士高原の美豚を使った具には30種類以上の香辛料が練り込まれ、タレはつけずに食べるのが一味玲玲流。もっちりとした皮から肉汁と旨味が溶け出し、口いっぱいにその味わいと幸福感が広がるはず。ニンニクは入っていないからランチにもイケる、大定番の名店餃子だ。