東京台湾(中目黒)
台湾各地を旅して完成させたタレと皮を楽しむ一皿
店主・須藤晋次朗さんは、元イタリアンのシェフ。台湾旅行をきっかけに、ハマってしまい〈東京台湾〉をオープンするに至った。“台湾のあちこちを旅し、あらゆる食文化に触れ、吸収し、それらをギュッとしたらこうなりました”という「名物水餃子」は、皮とタレが主役。皮は、強力粉にキャッサバ粉を混ぜて硬めに仕上げ、それを味わってもらうため、あえて餡はシンプルに仕上げている。
もう一方の主役のタレは、ココナッツ、パイナップル、パパイヤなど数種類のフルーツと豆を焼いて漬けた甘味噌のような味わい。台湾食文化を尊重しつつ、独自センスを加えた唯一無二の一皿ここにあり。
4個550円。寸:7cm、ヒダ:無、皮:厚、具:普。
老酒舗(御徒町)
自家製発酵白菜漬けの爽やかな旨味が口いっぱいに広がる
1980年代まで北京に多く存在した大衆酒場がコンセプトの店。メニュー表には日本語表記が一切なく、内装も現地の雰囲気そのもの。自家製ドラム缶オーブンで焼いた本物の叉焼(チャーシュー)や烤雞(カオジー)(焼き丸鶏)などのおつまみも本場さながらだが、中でも人気なのが水餃子。
夏場は1ヵ月、冬場は2ヵ月かけて店内で作る、酸菜(スヮンツァイ)を使用した水餃子が特に人気。餡の材料は酸菜、豚肉、ショウガ、味つけも塩コショウ、醤油、ゴマ油と自然由来のものしか使わないのが決め手。乳酸発酵の力だけで、ふくよかな香り、酸味、旨味があり、タレは不要。水餃子はほかに猪肉大葱と素三鮮の計3種類あり、どれも絶品だ。
3個264円。寸:6cm、ヒダ:無、皮:普、具:普。
中国家庭料理 楊2号店(池袋)
誰もがこの味と店主の元に帰ってきたくなる
明るい人柄で、誰もがファンになってしまう店主の楊鋭意さんは中国四川省出身。祖母が雇っていた料理人から伝授された味をお店で再現している。
水餃子は、モチモチなのに重くない皮、そして噛む前から漂う、生きたニラの香り。噛めばその香りは倍増、そして臭みの全くない肉の旨味が舌を包む。鶏ガラ&豚骨スープや、野菜の旨味が移った油通し油なども餡に加えているそうだ。ゆで汁には花椒を加え、皮にアロマを纏(まと)わせるという芸の細かさに、水餃子への愛を感じる。おいしいお料理の秘訣は“自信を持って、自分がおいしい!と言えるものを、心を込めて作る”とのこと。脱帽です。
5個590円。寸:7cm、ヒダ:無、皮:厚、具:多。