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俳優・吉田羊の「私の食堂、私の一皿」。〈マリスコス〉の明太子といくらの冷製カッペリーニ

洋食には「おいしい」や「好き」だけではない思い出や物語があります。あの人は、どんなメニューが好きなんだろう。洋食を愛する俳優・吉田羊さんにお気に入りの食堂と一皿を綴ってもらいました。特別な一皿をどうぞ。

photo: Akira Ishiwatari / edit: Hikari Torisawa

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東京・自由が丘〈マリスコス〉の明太子といくらの冷製カッペリーニ

寄稿・吉田羊

自由が丘駅から徒歩4分。地元民に愛される街のビストロ〈マリスコス〉。連日、家族連れや女性客で賑わい、多くで食べられているのが「明太子といくらの冷製カッペリーニ」。艶々(つやつや)と輝くイクラに明太子パスタが“まみれた”一皿は、さながらオレンジの花がテーブルに咲いたよう。ヴィジュアルに歓喜の声を漏らした後は、一口目で心鷲掴みにされていただきたい。

ちなみに私の初体験は、口に入れた瞬間しばし思考停止。感動で天を仰いでから隣席の友人を見ると全く同じ表情で天を仰いでいた。カッペリーニの存在を知ったのは上京してからだけれど、今や私が食べたいカッペリーニの基準はこのパスタかもしれない。これか、これ以外か。ROLANNDさんもいつかぜひ(真顔)。

他所のお店であれこれ食べてみるも、やっぱり帰ってくるのはこの、最後の一口までイクラのプチプチを楽しめる、目も口も耳も幸せを感じる贅沢パスタだ。ところで、〈マリスコス〉との出会いは10年程前。友人の美容室の目と鼻の先に前身の店舗があり、やれ誕生日だ、やれ週末だと通っていた。

カジュアルな雰囲気でワインに合う料理を食べられることもさることながら、運が良ければありつける不定期メニューもまた魅力的な店だった。数週間に1度焼かれる自家製ブリオッシュや自家製フォアグラ(苺のキャラメリゼ添え)に、友人と2人頬を落としながら、あれこれ未来を語り合った思い出。よし、今度はカッペリーニを食べながら“現在”の答え合わせといこうか。(筆)

自由が丘〈マリスコス〉の明太子といくらの冷製カッペリーニ
明太子、イクラ、ジャコ、シソ、海苔をパスタに合わせる折衷っぷりはまさに洋食。ビストロでパスタというのも珍しい看板メニュー。1800円。

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