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上坂あゆ美の「私の食堂、私の一皿」。〈カフェテラス ポンヌフ〉のハンバーグスパゲティ

洋食には「おいしい」や「好き」だけではない思い出や物語があります。あの人は、どんなメニューが好きなんだろう。洋食を愛する上坂あゆ美さんにお気に入りの食堂と一皿を綴ってもらいました。特別な一皿をどうぞ。

photo: Kazuharu Igarashi / text: Emi Fukushima / edit: Rie Nishikawa

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東京・新橋〈カフェテラス ポンヌフ〉のハンバーグスパゲティ

寄稿・上坂あゆ美

新卒で入った会社で新橋エリアの営業担当をしていた時、打ち合わせの合間に新橋駅前ビルによく通った。稲庭うどんの〈七蔵〉や老舗台湾料理の〈ビーフン東〉など名店が揃う中、どうしてもやりきれない日の私は〈ポンヌフ〉に行く。

柔らかい太麺にマッシュルームと玉ねぎが入った、ナポリタンのイデアのごときナポリタン。ハンバーグに辿り着く頃にはいつもお腹がいっぱいで、だったらナポリタン単品(800円)にすればいいのに、私はいつもハンバーグスパゲティ(1000円)にしてしまう。

こういう日は満腹の向こう側に行きたいのだ。口元のケチャップを拭って顔を上げると、背広姿のサラリーマンたちがランチを終え、みんなそれぞれの持ち場に帰っていく。人間には、こういうことでしか救われない心の部位がある。

〈カフェテラス ポンヌフ〉のハンバーグスパゲティ
塩・コショウが程よく効いたスパイシーなハンバーグとともに、食べ応え抜群。1,000円。

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