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料理人・紺野真の「私の食堂、私の一皿」。〈DOELL〉のナポリタン

洋食には「おいしい」や「好き」だけではない思い出や物語があります。あの人は、どんなメニューが好きなんだろう。洋食を愛する料理人・紺野真さんにお気に入りの食堂と一皿を綴ってもらいました。特別な一皿をどうぞ。

photo: Satoko Imazu / edit: Rie Nishikawa

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東京・宮の坂〈DOELL〉のナポリタン

寄稿・紺野真

もし僕らが飲食店で口から入れる物以外も摂取しているのなら、一体何を摂取しているのだろうか。その答えがここにある。このナポリタンはとても日常的で、何か特別な素材を使っているとかではないかもしれない。でもそれがいいのだ。

〈DOELL〉さんのナポリタンは丁寧な日常。オーナーご夫妻に「なんでこのナポリタンはこんなに美味しいんですか?」と聞くと「真心が入ってます。愛は重すぎるから」という洒落た答えが返ってきた。いかにもお2人の人柄の表れた答えだと思う。

優しくて、誠実で、お洒落。僕はこのナポリタンをいただく時、お2人の真心を、そしてこのお店に刻まれてきたたくさんの思い出も同時にいただいているのだ。僕はかれこれ20年くらいは通わせていただいている。いつまでも続いて欲しいお店。(筆)

東京・宮の坂〈DOELL〉のナポリタン
パスタは細めで優しい味つけ。自家製ハバネロオイルと粉チーズはお好みで。850円。

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