東京・上野〈黒船亭〉のタンシチュー
寄稿・麻生要一郎
大人になってから好きになったのは、ノスタルジー感溢れる上野界隈。上野恩賜公園を散策、不忍池のほとりにある〈黒船亭〉へと向かう。ここでの目当てはタンシチュー。かつては文明開花の幕開けと共に洋食の花形メニューであったが、手間暇かかるからなのか、供する店は少なくなった。
オーダーすると、やわらかく煮込まれた立派なタンが2枚、惜しみなく供される。付け合わせも一つ一つ手をかけた老舗の味。1週間かけて作るデミグラスソースの、しっかりとした深い味わい、優しい余韻は、ご飯にもよく合う。
色々食べたい方には、ハーフサイズもあり、エビフライ1本、ビーフとタンのミックスというのも可能。帰り道、御徒町の三香園で日本茶を買い、サンリミットでシャツを選び、吉池で晩の食材を吟味するのも、醍醐味。(筆)