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古着再生師・原田真助が語る古着と私。古着に新たな命を吹き込む

どんな服やカルチャーが響くかは人によって違う。古着好き、といっても実にいろんなタイプがいるものだ。着倒す、愛でる、再生、研究、収集。古着が生活に溶け込んだ8組の個性派たち。古着ワールドは無限なり。

Photo: Yasutaka Tomiyama / Text: Seika Yajima

“眠っている古着”を
受け入れ、生き返らせる

「僕のやりたいことは、ゴミと化した古着を再生することで、目の前にいるお客さんを楽しませ、新たな価値観を伝えていくこと。今まで人間は、新しい資材で洋服を作りすぎてしまったと思うんです」

そう言い切るのは、古着再生師・原田真助さんだ。古着を単なるファッションとして捉えるのではなく、よりよい生き方を導き出す一つの鍵のようなものだと考えている。

「もともと古着が好きで、ヨーロッパ古着屋をやっていたこともありました。最初はそれが楽しかったけれど、次第に“格好いいから服を買う”という消費活動をひたすら続けていくことに疑問を感じるようになってきて。
自分が好きな古着を通してもっと新たな世界を見たい、と考えた時に行き着いたのが、目の前で溢れかえった古着を生き返らせることでした。

再生させた服を着て外国の街を歩いていると、“その服いいね”と声をかけられることがたびたびあるんです。服に込めたメッセージが少しでも伝わって、言葉が通じなくても意思疎通できることがすごくポジティブなことだと思うんです」

原田さんは「古着再生」という概念に、多くの可能性を感じている。

「熊本の大学に古着回収ボックスを設置する予定で、そこでゼロ円で材料を仕入れて服を作ろうと計画しています。値段はお客さんに決めてもらおうと思っているんです。そういう実験をいろいろと試みることで、資本主義の流れから外れた服作りを目指していきたいですね」

古着再生師・原田真助
サイズが大きくて着られないものや、必要とされなくなった古着を海外や日本で入手。ミシン作業と手作業によって、新たな服として生まれ変わらせる。