『The Stories of John Cheever』
「こんなに面白いのになあ」と慨嘆しているのだが……
ジョン・チーヴァーの短編小説が61編も収められた分厚い本。ずしりと重い。表紙が赤いので俗に「赤のチーヴァー」と呼ばれている。僕は数年前にこの中から10編ほどを選んで訳し刊行したが、残りの作品の方がだんぜん多い。
そのうちにまたいくつか訳したいと思っているのだが、チーヴァーの作品は日本の読者にはなぜかあまり受けなくて、正直言って本もあまり売れない。僕は昔からチーヴァーが好きで、「こんなに面白いのになあ」と慨嘆しているのだが、いくら僕が慨嘆しても状況は好転しない。もしよかったら手にとって読んでみてください。
チーヴァーはニューヨークのアパートメントに住んでいるとき、毎朝同じ時刻にスーツを着てエレベーターに乗り、地下室にある専用のストレージに入ってそこで執筆をした。夕方になるとまたエレベーターに乗って部屋に上がり、そこでスーツを脱いで寛いだ……ということだ。かなり変わった人だったようだ。