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若きミュージシャンたちが集う池袋の隠れ家カフェ〈KAKULULU〉。松丸契とリスニングバーへ

なぜ人は、リスニングバーに行くのか。旨い酒と洗練されたその選曲は、愛聴盤を新鮮に響かせ、新しく出会った一枚も名盤のように聴かせてくれる。店を信頼するゲストと店主が語る、音楽と酒の話。

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Photo: Takahiro Idenoshita / Text: Katsumi Watanabe

若きミュージシャンたちが集う
池袋の隠れ家カフェ

「隠れる」の古語から店名をとった池袋のカフェ〈KAKULULU〉は、その名の通り、近隣の人たちが訪れるひそかな憩いの場所だ。店内に流れているのはメリチェイ・ネッデルマンやアンブローズ・アキンムシーレなど、マニアックな新しいジャズだが、誰でも親しめる作品が選ばれている。

パプアニューギニアで育ち、バークリー音楽大学を卒業後、日本で音楽活動をするサックス奏者の松丸契さんが〈KAKULULU〉に馴染むのも納得だ。

「2年前、ドラマーの石若駿さんに誘われて演奏に参加した時、初めてこのお店に来ました。日本に来たばかりの時期でしたが、安心できる心地よい空気感の中で迎えてくれて。活動を始めてすぐに、このお店に出会えてよかったす」

店主の高橋悠さんは、池袋が地元。音楽関係の仕事に就いていたこともあり、ミュージシャンから近隣の人までに愛されている。「毎年周年には店内でフェスを開催しているんです。松丸くんは石若さんの推薦とはいえ、演奏も聴いたことがなかった。しかし、石若さんやマーティ・ホロベックと対等に演奏するのを見て、ただ者じゃないとわかりました」

東池袋〈KAKULULU〉店内

また、〈KAKULULU〉では、後に共演することになる重要な出会いがあったと、松丸さんは振り返る。「井上銘さんや君島大空とも知り合えましたし、ここでの出会いは今の活動にもつながっています」

松丸さんが来店した際には、高橋さん独自のおもてなしがある。「パプアニューギニアで松丸くんが教科書代わりに聴いていた渡辺貞夫さんの作品をかけます。ニヤニヤしてくれるのが嬉しいんですよね」

2人で選んだ4枚

『In The Backyard Of The Castle』Meritxell Neddermann
『California Shower』渡辺貞夫
『Satin Doll』Sam Gendel
『On The Tender Spot Of Every Calloused Moment』Ambrose Akinmusire