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良い音がある人と人の交流の場、飯田橋〈BAR MEIJIU〉。ジェーン・スーとリスニングバーへ

なぜ人は、リスニングバーに行くのか。旨い酒と洗練されたその選曲は、愛聴盤を新鮮に響かせ、新しく出会った一枚も名盤のように聴かせてくれる。店を信頼するゲストと店主が語る、音楽と酒の話。

Photo: Masanori Kaneshita / Text: Chisa Nishinoiri

バーは人と人の交流の場
そこに良い音があれば、なおよし

「私バーが好きなんですよね。常連さんと知り合いになれたり、人との交流の場としての楽しさですね」と、コラムニストのジェーン・スーさん。最近の贔屓はもっぱら〈バー メイジュ〉。

名機と名高い〈TANNOY〉のバークレイから、マラコフ・コワルスキーの美しいピアノが静かに流れている。「ピアノソロや独奏ものが好きなので、店では静かな音楽をかけることが多いですね」と、マスターの松本圭祐さん。「ここは、いい音でレコードがかかる店。ジャンルにとらわれず、松本くんが好きで選んだ音楽が自然に流れているのがいいんですよね」

2人は2010年に店がオープンする以前から、15年来の仲だという。「実は2人とも“ヘッズ”なんですよ。ヒップホップの新譜を松本くんに教えてもらったり、逆に90年代の音は私から松本くんに、みたいな関係。世代はひと回り違うんだけど、だからこそかな、新譜も昔のネタ元の音も一緒に聴けて、懐かしんだり盛り上がったりできるのが楽しい」

そんなふうに酒場を楽しむジェーン・スーさん、実は下戸。今まではソフトドリンクで過ごすことに少し後ろめたさもあったというが、最近は店自慢のモクテルに御執心。クランベリーとローズマリーが香る茜色の一杯も松本さんが考案。

「おいしいモクテルが増えればいいのにと、昔から話していたんです。コロナ状況下もあり、ギーク気質なこともあり、ノンアル・ジンやコーディアル類はすべて手作りです」

飯田橋〈バー メイジュ〉店内

ジェーン・スーさんは今や週1で通うほどの常連ぶり。「私にとってますます都合が良くなっています(笑)」

2人で選んだ4枚

『My First Piano』Malakoff Kowalski
『Careless Thoughts』Ryan Driver
『Small Town』Bill Frisell、Thomas Morgan
『As If It Were Forever』Anna Wise