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シーンに新たな流れを作った、次世代のワインの注ぎ手。目黒〈Kabi〉江本賢太郎

長い旅を経て、飲み手の前に届いたワイン。でもその一本はいつ、どう飲む?サービス一つで味は一変する。だからこそ、信じて委ねてみましょう。注ぐ人で味が変わる、はやっぱり本当です。

photo: Sachie Abiko / text: Kei Sasaki

サービスに力を与えるのは、
自分を試してきた海外経験。

次世代の旗手、江本賢太郎さん。フランスでクラシックを、北欧で前衛を学んだ料理人・安田翔平さんと、日本の食文化を新しい形で世界に発信するレストラン〈Kabi〉を開き、シーンに新たな流れを作った。

経歴は実にカラフル。料理人を志し、調理師専門学校のカリキュラムでフランスに留学。レストランで研修中にワインと、接客の面白さに気づく。都内の高級フランス料理店で計4年間ソムリエとして働き、英語とワインを学べたら一石二鳥と、醸造学科のあるカリフォルニアの大学に進む。

ナチュラルワインに本格的に感化されたのは帰国後。オーストラリアの生産者、ルーシー・マルゴーとトム・ショブルックの初来日イベントで、オレンジワインの味に衝撃を受け、オーストラリア行きを即決。メルボルンのレストランでは、マネージャー兼ソムリエを務め、視野を広げ、語学力を磨いた。

「日本のレストランはサービスの存在感が薄い。そこで勝負したい」

フランス時代に抱いた思いは揺るがなかった。当初は「飲食業なら料理人に」と言っていた両親も、理解し見守ってくれた。

左/チェコのミラン・ネスタレッツが造る、混醸の白。右/ロワール地方のフランソワ・サン・ロ。
左/チェコのミラン・ネスタレッツが造る、混醸の白。「まだ日本ではマイナーな産地だけれど、味は王道かつ遊び心もある。多様なワインに興味を持つきっかけになれば」。右/ロワール地方のフランソワ・サン・ロ。「メルボルンのアジアンレストランで働いていた時、リストの軸にしていた生産者です。エキゾティックな料理にほのかな甘さが合う」

安田さんと出会ったのは、目黒〈アンジュール〉。そこでまた多くの造り手を知り、日本のワインコミュニティに溶け込むなど、世代の恩恵も受けている。知識を深める場にフランスではなくアメリカを選んだり、きっかけの一本がオーストラリアだったり、いくつもの意味でネクストジェネレーション。

高価格帯でハイセンスだが雰囲気はフレンドリー、という店作りも斬新。各国の生産者を幅広くラインナップし、「注ぎ手の“表現”が店の価値になれば」と、コースと合わせたペアリングにも力を入れる。

レストランビギナーの若い世代から、世界を食べ歩くフーディまで、ファンの層は幅広い。開業から約2年で、日本橋兜町に2店舗目も出店。食べ手だけでなく、料理人、注ぎ手と、さらに若い世代を巻き込み、軽やかに楽しげに、新しい時代を進んでいる。

東京/目黒〈Kabi〉江本賢太郎さん