唯一無二の個性でお茶の間の人気者となっているフワちゃん。『窓ぎわのトットちゃん』は、“人と違う”ことをポジティブに捉え、ありのままの自分を表現する勇気を与え続けてくれる、かけがえのない一冊。
『窓ぎわのトットちゃん』
出会いは小学校2年生の頃。母親が薦めてくれたのがきっかけだった。
「あたしの性格が、トットちゃんとおんなじって思ってたんだって!トットちゃんの性格は、良いように言うととっても好奇心旺盛。授業中でも教室の窓の外を通るチンドン屋さんに『ねえ!何してるの!』って話しかけたり、学校の机の蓋を開けたり閉めたりするのが楽しくて、ずっとバタバタしてるの。
そうだねぇ。トットちゃんはとっても好奇心旺盛だけど、イジワルな言い方をすると、ちょっぴり浮いてる子。そういうことばっかしていて、学校も退学になっちゃったんだって」
初めて読んだときは、そんなトットちゃんと自分が似ているとは思わなかった。
「トットちゃんのことは、おもしろい子!って思ってたけど、あたしと同じだなんて思わなかった。物語を自分に重ね合わせたり、何かを学んだり、というよりも、本を開けばトモエ学園のかわいいお友達に会えるから、それが楽しくて読んでたな。
う〜ん、でも今思えば、似た部分は正直あったかも。小学校のとき、抜けた歯を誰よりも高く投げたくて体育倉庫の上までよじ登ったり、ホッカイロの中身が砂鉄だって聞いて、それを確かめたくて全校集会の最中にホッカイロを切り刻んで磁石で実験してみたりして。そんなもんだから、お母さんが学校によく呼び出されてた。トットちゃんとまんま同じじゃん!」
大人になると、自分に少し違和感を感じるようになった。
「学生時代の私は相変わらず変だったけど、友達も多かったし運動もできたから、悩みごとも無く楽しく過ごしてたんだ。でも年を重ねていくにつれて、なんだか自分の“浮いてる”部分が如実に出てきて、周りもみるみる大人になって、いよいよいつまでも楽観的ではいられなくなってきた。
大学は3限からでも遅刻しちゃうし、何回やってもバイトはクビ。夢を叶えるために入った芸能事務所もお偉いさんに中指立てて解雇!みんなはどんどん大人になるのにあたしはどうしていつまでもこんななんだろうって思ってたそんな時に、初めてトットちゃんと自分を重ねてみたの」
支えになったのが、トモエ学園の校長先生の言葉だ。
「子供の頃はただ“おかしくて楽しい”としか思っていなかったトモエ学園の校長先生の言葉や振る舞いが、大人になってからは、すごく優しさに溢れたものだったって気がついた。校長先生は縦横無尽なトットちゃんに、“君は、本当は、いい子なんだよ”って言うの。トットちゃんはまだ小さくてその言葉の本当の意味には気づかないけれど、その言葉で自信を持つんだ」
成長してからは、自分だけうまく大人になれずに自信を無くしかけてた。
「でも、よく考えたらあたしだって、この個性を楽しんでくれる友達や、何度学校に呼び出されてもあたしの才能を信じてくれた両親、そんな校長先生級に素敵な人に囲まれてるって思い出したの。あたしって、いわゆる“普通に”生きていくのが下手で、それは大人になっても結局直らなかった。
それでもあたしって明るいし元気だし、得意なことだっていっぱいある!周りの仲間達や、本の中の友達、〈トモエ学園〉のみんなと接しているうちに蓄えられた自信が根底にあったから、上手に生きられなくたって、生まれもったこの性質を活かして楽しく生きられるって気付いたんだ。
どんな性格の人でもそれぞれ長所があるし、短所もある。悩んだときは、自分の性格を“変える“んじゃなくて、“活かしてみる“のが大事なんじゃないかな!なんだか偉そうなこと言っちゃってるけど、自分の大切な本がきっかけで、自分自身が好きになれるのって、なかなかいいもんだよ。君も、私も、本当はとってもいい子なんだから!」