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二代目尾上右近の「私の食堂、私の一皿」。〈喫茶you〉のオムライス

洋食には「おいしい」や「好き」だけではない思い出や物語があります。あの人は、どんなメニューが好きなんだろう。洋食を愛する二代目尾上右近さんにお気に入りの食堂と一皿を語ってもらいました。特別な一皿をどうぞ。

photo: Satoko Imazu / text: Emi Fukushima / edit: Rie Nishikawa

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東京・東銀座〈喫茶you〉のオムライス

談話・二代目尾上右近

喫茶you〉のオムライスと出会ったのは小学生の頃。歌舞伎座から程近いので、稽古や舞台の合間に連れていってもらったのが最初だったでしょうか。オムライスといえばケチャップライスが薄い卵でくるまれたものを想像していた当時の僕にとって、卵が主役のこの一皿は新鮮で。ふわふわな食感とマーガリンの効いた優しい甘さは衝撃的でした。

以来週に3回くらい食べていたと思います。ほかにも〈ナイルレストラン〉のカレーや〈銀之塔〉のビーフシチューなど、近隣のハイカロリーメニューをローテーションしていたので、一時体脂肪率は40%近くまでに(笑)。ちなみに上にのったオムレツは、真ん中から開いて食べるのが一般的だそうですが、僕はあえて開かず塊ごと口に運ぶのが好きです。

大人になってからは、初日や千穐楽(せんしゅうらく)などの節目の舞台を終えた後に行くように。観に来てくれた母親や友人らとお店で待ち合わせて、オムライスを食べながら「今日の舞台、どうだった?」と話すのがお決まりでした。ゆえに2010年、歌舞伎座が建て替えで3年間休館すると決まった時は、持ちつ持たれつでやってきたこうした大好きなお店たちはどうなるのか、影響を考えましたね。

だから休館とほぼ時を同じくして移転をし、連日お客さんの行列が途切れない今のお店の様子に勝手に嬉しさを感じています。それどころか逆に、いつも満席でなかなか入れなくなってしまったほど(笑)。また立ち寄りたいので、お店の拡張を希望します!(笑)

東銀座〈喫茶y you〉オムライス
オムレツに使うのは、卵2個とたっぷりの生クリーム。有塩のマーガリンで焼き上げ、ふわふわとろとろの食感に。1400円(ドリンク付き)。

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