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クラフトビールで、餃子はもっとおいしくなる Vol.3〈餃子天国〉〈山東餃子本舗〉

餃子とビール=“餃ビー”。言わずと知れた、最強の組み合わせ。餃子を食べるとビールが飲みたくなり、逆もまたしかり。そんな“餃ビー”の新たな可能性を探るべく、餃子愛好家のオガサワラガクさんと、〈Caliquors Tokyo〉の店主・白石達磨さんがクラフトビールとのペアリングを提案。餃子とクラフトビールの個性が交わり、かつてない味わいが生まれる。「クラフトビールで、餃子はもっとおいしくなる Vol.2 〈中華料理幸楽〉〈隨園別館新宿本店〉も読む。

Photo: Shinsaku Yasujima / Text: Koji Okano

牡蠣餃子〈餃子天国〉
ベルギー流、酸味の際立つビールを牡蠣に。

白石

今回、一番驚いたのが、超巨大な〈餃子天国〉の牡蠣餃子。

オガサワラ

店主のサービス精神が旺盛すぎるんです(笑)。

白石

ベルギーではムール貝と合わせたりするビール、ランビックスタイルのオードグーズ・ティルカン・ア ランシエンヌはどうかな。

オガサワラ

スパークリングワインのようですね。初めて飲みました。

白石

作り方がシャンパンと似ていて、麦とホップを野生酵母で醸した後で瓶内二次発酵させているスタイルです。レモンのような酸味があるでしょ?牡蠣にはレモンを搾るので、牡蠣餃子にも合うはず。 

オガサワラ

ワインのようなビールもあるとは。奥深い。じゃあ僕は、〈いわて蔵ビール〉の三陸広田湾産牡蠣のスタウトを合わせようかな。

白石

牡蠣に牡蠣、間違いないペアリングです。それにしても、こんな大きな餃子があるとは驚き(笑)。

餃子天国の餃子、オードグーズ・ティルカン・ア ランシエンヌ、いわて蔵ビール 三陸広田湾産牡蠣のスタウト
餃子:立川〈餃子天国〉東京都立川市錦町1-5-12 サンパークビル1F TEL:042-526-2283。17時30分~21時30分LO。日曜・月曜休。牡蠣餃子テイクアウト¥1,080(冬季限定)。変わり種餃子を数多く揃える。

右:酸が印象的な、野生酵母発酵ビール「オードグーズ・ティルカン・ア ランシエンヌ」

「ランビックは野生酵母で発酵させるビールなので、複雑な酸味があります。このビールのレモンのような酸は牡蠣に合いますが、この餃子、餡に挽き肉がたっぷりなので、実際にペアリングしてみるまで、吉と出るか不安でした(笑)」(白石) ¥1,160(375㎖)。ブラッセルズ TEL:03-5457-3400。10時~17時。土曜・日曜・祝日休。

左:地元産牡蠣の旨味がにじむスタウト「いわて蔵ビール 三陸広田湾産牡蠣のスタウト」

「牡蠣餃子といいながら、すごい量の挽き肉も入っているので、どちらが主役かわかりませんね(笑)。僕は牡蠣の殻の旨味が溶けた黒ビールを。ド直球の組み合わせですが、口の中で牡蠣の滋味が喧嘩する感じが癖になります」(オガサワラ) ¥550(330㎖)。世嬉の一酒造 TEL:0191-21-1144。9時30分~18時。無休。

ラム肉餃子〈山東餃子本舗〉
IPAの華やかなホップが羊の臭みを消す。

オガサワラ

最後は〈山東餃子本舗〉のラム肉餃子です。店では水餃子で提供されるのですが、僕はいつも生餃子を買って、焼いちゃいます。

白石

これは即答。〈Repubrew〉の69IPA。ラムの個性的な香りに苦味と柑橘のIPAは、テッパンの組み合わせです。

オガサワラ

僕は〈COEDO〉の毬花。ホップの香りでラムの臭みを抑えます。セッションIPAなので、アルコール度数控えめで飲みやすい。

白石

最後は、方向性が一致しましたね。味の殴り合いはいいけれど、意見が割れて、僕たちが殴り合わないでよかった(笑)。そして、どれもおいしかった!

オガサワラ

餃ビーは奥深いですね。一番の衝撃は、ビールが調味料にもなること。今日を機に、究極のペアリングを求めて、夜な夜な餃ビーの組み合わせを研究したいと思います。

〈山東餃子本舗 本店〉のラム肉餃子、Repubrew 69IPA、コエドブルワリー 毬花−Marihana−
餃子:江古田〈山東餃子本舗 本店〉東京都練馬区旭丘1-55-4 TEL:03-3953-7802。18時~23時。月曜休。ラム肉水餃子テイクアウト¥648(生餃子の状態でも持ち帰り可)。店内提供の焼き餃子は大きな羽根付き。

右:華やかでドリンカブルなIPA「Repubrew 69IPA」

「日本のIPAの中ではイチオシ。静岡・沼津でアメリカンIPAのお手本のような味を再現しています。ホップの苦味も柑橘の香りも鋭いのに飲みやすいのは、造りのクオリティが高いから。ラムと一緒に、どんどん飲んじゃってください」(白石) ¥400(350㎖)。Repubrew TEL:055-939-8877。17時~23時。月曜休。

左:苦さ控えめで飲みやすいIPA「コエドブルワリー 毬花-Marihana-」

「ラム肉餃子は、店では水餃子でしか出さない。店主には“焼くと臭いがきついかも”と言われますが、僕は羊の脂が好きなので、生餃子を持ち帰って焼いて食べます。毬花のホップの香りが羊の臭いを和らげてくれます」(オガサワラ) ¥294(333㎖)。COEDOクラフトビール醸造所 TEL:0570-018-777。9時~18時。土曜・日曜・祝日休。