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グルマン温故知新:広尾〈日日の料理 びおら〉和食の素晴らしさ、上質な味わいを再発見

テーマごとにレストランを紹介するブルータスの人気連載。今回のテーマは「日常をつなぐ和食」。和食のハードルは高い。そう思っている人は多いはず。マナーがわからないし、値段も高いし、緊張するし……。そんな心配は無用の、優しいシェフ、オーナーが手がける、舌にも懐にも優しい和食店を紹介しましょう。一度行ったら、また行きたくなりますよ。

photo: Shin-ichi Yokoyama / text: Noriko Watanabe

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日日の料理 びおら(広尾)

和食の素晴らしさ、上質な味わいを再発見する

料理家の後藤加寿子さんと娘のすみれさんが「最上級の“ケ”の料理店」を開いた。炊きたての白いご飯に、和え物、煮物、焼き物、味噌汁といった日々の和食の店だ。ごく普通に見えるが、口にするとしみじみと味わい深く、細胞の隅々にまで滋養が行き渡るよう。

加寿子さんの母は、武者小路千家十三世家元夫人であり、懐石料理研究家だった澄子さん。「懐石の心は家庭料理にあり」という澄子さんの考えを、長年、料理教室や著書で伝え続けてきた加寿子さんがメニューを組み立て、気軽にカフェのような気分で和食を楽しんでもらいたいと、すみれさんが店を牽引する。3代にわたり受け継がれてきた、その思いがここに花開く。料理を担当するのは向坂智博さんだ。

長年積み重ねてきた人脈の幅広さを物語るメニューのチョイス、食材や器の洗練度は、一朝一夕ではなし得ない強み。目に見えないところに脈々と流れる奥深さを、じっくりと味わおう。

広尾〈日日の料理 びおら〉料理担当の向坂智博さん
静岡〈旬香亭〉で腕を磨いた向坂さん。丁寧な仕事ぶりだ。
広尾〈日日の料理 びおら〉店内
シンプルでモダンな設(しつら)え。喫茶タイムは打ち合わせ場所としても。

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