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グルマン温故知新:神楽坂〈KOMB〉スタイリッシュな和食の世界

テーマごとにレストランを紹介するブルータスの人気連載。今回のテーマは「日常をつなぐ和食」。和食のハードルは高い。そう思っている人は多いはず。マナーがわからないし、値段も高いし、緊張するし……。そんな心配は無用の、優しいシェフが手がける、舌にも懐にも優しい和食店を紹介しましょう。一度行ったら、また行きたくなりますよ。

photo: Shin-ichi Yokoyama / text: Watanabe Noriko

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KOMB(神楽坂)

確かな技術が拓(ひら)くスタイリッシュな和食の世界

神楽坂の裏路地、白い暖簾(のれん)の片隅に小さく「こんぶ」の文字。控えめなその文字が店の性格をよく表している。店主、原田アンナベル聖子さんは懐石料理の名店で学び、紆余曲折ありながらも、これまた名店のメニュー開発に携わった後、自店をオープン。

この店、決して派手ではないし、慎み深いが、秘めたるパワーは底知れず。「懐石から離れようとしています」と言うが、要は視野を広く持つということだ。アラカルトにある「季節の焼売」もそんな料理の一環だ。モダン中華の店の研修で習い覚え、食材を選び抜き、自分なりの工夫を凝らしたものだ。

すっきりとシンプルな内装の核となる清潔感あふれるカウンターは、実家に眠っていたというトチノキ製。器といい、盛り付けといい、優しい組み合わせと繊細な心遣いで、店全体に柔らかな空気を生み出している。料理はコースのみ、しかも、ほぼ週末のみの営業だが、知っておくと自慢できる店かも。

神楽坂〈KOMB〉店主の原田アンナベル聖子さん
器が好きだと店主の原田さん。楚々とした雰囲気。
神楽坂〈KOMB〉店内
トチノキのカウンターが存在感を放つ店内。シンプルで落ち着く。

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