日日の料理 びおら(広尾)
和食の素晴らしさ、上質な味わいを再発見する
料理家の後藤加寿子さんと娘のすみれさんが「最上級の“ケ”の料理店」を開いた。炊きたての白いご飯に、和え物、煮物、焼き物、味噌汁といった日々の和食の店だ。ごく普通に見えるが、口にするとしみじみと味わい深く、細胞の隅々にまで滋養が行き渡るよう。
加寿子さんの母は、武者小路千家十三世家元夫人であり、懐石料理研究家だった澄子さん。「懐石の心は家庭料理にあり」という澄子さんの考えを、長年、料理教室や著書で伝え続けてきた加寿子さんがメニューを組み立て、気軽にカフェのような気分で和食を楽しんでもらいたいと、すみれさんが店を牽引する。3代にわたり受け継がれてきた、その思いがここに花開く。料理を担当するのは向坂智博さんだ。
長年積み重ねてきた人脈の幅広さを物語るメニューのチョイス、食材や器の洗練度は、一朝一夕ではなし得ない強み。目に見えないところに脈々と流れる奥深さを、じっくりと味わおう。