KOMB(神楽坂)
確かな技術が拓(ひら)くスタイリッシュな和食の世界
神楽坂の裏路地、白い暖簾(のれん)の片隅に小さく「こんぶ」の文字。控えめなその文字が店の性格をよく表している。店主、原田アンナベル聖子さんは懐石料理の名店で学び、紆余曲折ありながらも、これまた名店のメニュー開発に携わった後、自店をオープン。
この店、決して派手ではないし、慎み深いが、秘めたるパワーは底知れず。「懐石から離れようとしています」と言うが、要は視野を広く持つということだ。アラカルトにある「季節の焼売」もそんな料理の一環だ。モダン中華の店の研修で習い覚え、食材を選び抜き、自分なりの工夫を凝らしたものだ。
すっきりとシンプルな内装の核となる清潔感あふれるカウンターは、実家に眠っていたというトチノキ製。器といい、盛り付けといい、優しい組み合わせと繊細な心遣いで、店全体に柔らかな空気を生み出している。料理はコースのみ、しかも、ほぼ週末のみの営業だが、知っておくと自慢できる店かも。