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2021年の「副読本」。【上野で双子の赤ちゃんパンダが誕生】を読み解く3冊

一冊を何度も読み込むという読書の深め方もあれば、ある出来事について書かれたいくつかの本を読んでみるのも深める読書の一つといえるはず!ここでは、2021年にあったニュースをBRUTUSが独自にピックアップ。こんな裏側が⁉実はそういうことだった⁉そんな新たな視点や学びを得られる本をそれぞれ3冊ご紹介。

Illustration: Kanta Yokoyama / Text: Asuka Ochi, Keiko Kamijo, Ikuko Hyodo, Junya Hirokawa, Ryota Mukai

動物の不思議な生態と
進化について考える

上野動物園でシャンシャン以来、4年ぶりにジャイアントパンダの赤ちゃんが誕生。オスがシャオシャオ、メスがレイレイと名づけられた。パンダの繁殖は難しく、クマ科の中でも生態や進化は特徴的。知れば、双子に会う日が待ち遠しくなる。(パンク町田・作家、動物研究家)

『見つけるぞ、動物の体の秘密』

遠藤秀紀/著

7本目の指がパンダにあることを発見した動物解剖学者の遠藤秀紀さんによる当書。パンダをはじめとする動物の生態や進化の謎が、子供にもわかりやすく読めます。入門的な本ですが、この一冊で場合によっては30〜50本もの論文に相当するほどの内容の濃さ。

『見つけるぞ、動物の体の秘密』遠藤秀紀/著
『パンダの死体はよみがえる』の著者による、大人でも読み応えのある科学読本。動物の死体を解剖し、体の仕組みや進化の秘密を解き明かす。動物解剖学という仕事についても知ることができる。くもん出版/¥1,540

『頭骨大図鑑』

吉田賢治/著

『頭骨大図鑑』は、動物の頭蓋だけを大判の一冊に凝縮した本です。これだけの量の頭蓋をさまざまな角度から一度に眺めるのは博物館でもなかなか難しくて貴重。頭骨や歯の形というのは動物学の基礎ともいえる重要なもの。トラとライオンの頭骨なども、並べて比べることでその生態の違いに気づくことができます。

『頭骨大図鑑』吉田賢治/著
哺乳類、鳥類、爬虫類・両生類、魚類まで、生物362種類以上、約830点の頭蓋写真を収録した図鑑。真っ黒な背景に浮かぶ、骨の写真が美しい。図説や解説も詳しく、より深く生物の生態に迫れる。アプリスタイル/¥3,760

『化石の分子生物学 生命進化の謎を解く』

更科功/著

化石から分子を取り出し、ネアンデルタール人や古代生物の進化の謎を解く『化石の分子生物学 生命進化の謎を解く』。化石が発見されれば、骨格、筋肉量、動き、生態など、絶滅生物についても多くのことがわかる。こうして進化論を知ってから動物を見るのも面白いですよ。

『化石の分子生物学』更科功/著
古代DNA研究家が分子生物学によって解明したネアンデルタール人と現代人類とのつながり、古代生物の進化の謎を追う。研究の難しさ、苦労点なども綴られ、研究自体に興味がある人にもおすすめ。講談社現代新書/¥946