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アーティスト・山瀬まゆみの捨てられない本。『アート:“芸術”が終わった後の“アート”』

何年も手放すことができない、何冊も買ってしまうような、アーティスト・山瀬まゆみさんにとって大切な一冊。本について語る時、そこには人生の歩みと、本が紡ぐ新たな物語が刻まれている。

photo: Kiichi Fukuda / text: Mako Matsuoka / text & edit: Chisa Nishinoiri

学生時代からそばにいる、アートのガイド役

出会いは2007年。ロンドンでファインアートを専攻していた学生時代のことです。繰り返しページをめくっては、知識を吸収していましたね。現代アートの文脈がわかりやすく解説されているので、当時の私にとっては教科書のような存在でもあったんです。

心に刺さった箇所は付箋を貼る、端を折る、線を引く。あらゆる方法でチェックを入れています。アーティストとしてどれだけの影響を受けているかは、正直、わかりません。作品はよく目にしてたけど、背景を咀嚼できていなかったものたち、例えば、コラージュ作家のバーバラ・クルーガーやセルフポートレートを記録し続けるシンディ・シャーマンについての理解を深めたのは、この本のおかげ。点と点がつながりました。

あまりに読み込みすぎて、表紙も誌面もクタクタになってきたので新しく購入。2冊目を手にした時期は定かじゃないけれど、初代を買ってから間もなかったはず。きれいな状態で書棚に並べておきたくてスリップも残しています。同タイトルを複数所有するのは、これだけ。これからも案内役としてそばにいてくれると思います。

松井みどり著書の『アート:“芸術”が終わった後の“アート”』
1960年代から刊行時の2002年までの現代美術の動向を踏まえ、これからのアートの見取り図を明晰に語っている。編集を菅付雅信、装丁を佐藤可士和が手がけた。著/松井みどり。朝日出版社。