味坊(神田)
新鮮で臭みのないラム肉を使ったシンプルな水餃子
中国黒竜江省チチハル出身の店主・梁宝璋さんが「手作りのおいしい羊料理を広めたい」との思いを込めて営む中国東北料理〈味坊〉。「和食と同じで新鮮な素材が大事。自然の旨味を味わってほしい」と鮮度抜群の羊肉を使った串やしゃぶしゃぶが名物だが、餃子も例に漏れず「ラムの水餃子」が人気だ。
餡は手間をかけて中華包丁で刻んだラム肉・長ネギ・ショウガ・トマト、味つけはシンプルに塩コショウ・ゴマ油・醤油のみ。中国のお母さんが作るようなもっちり皮から、しつこくないラム肉の旨味が口に広がるが、癖は全くない。新鮮なラム肉の風味と香味野菜・トマトのバランスが絶妙なのだ。
1+Dumpling(早稲田)
学生の街・早稲田で本場の水餃子が10個330円の破格値
お店を切り盛りするご主人は中国東北部の吉林省出身。焼きが人気という日本の餃子事情を知り、本場で主流の水餃子を気軽に楽しんでもらいたいと2019年、開業。餃子は全11種類あるが、まずは豚肉と白菜だけのシンプルな「白豚」をぜひ。厚めでモチモチの皮の中から餡の旨味がじんわり溢れる。そのままでも十分おいしいけれど、刻みニンニクや自家製のラー油で味の変化を楽しむのもいい。
価格は学生街ならではの10個で330円という良心設定。安さの秘訣は日本に住む中国の方々の支持。お取り寄せで各家庭が大量に買い置きをしてくれるため、赤字ギリギリの値段でもやっていけるそう。
北京亭(神保町)
創業60年来の水餃子は、スープと合わせて堪能あれ
昭和のアイドル誌専門店やカセットテープ店が立ち並ぶ神保町の猥雑な一角に位置する〈北京亭〉は、上海出身の江頴禅(コウ・イェンゼン)さんが1960年頃に創業した町中華の名店。年季の入った店内には政治家や大女優の色紙が並び、時代の食通たちを虜(とりこ)にしてきた歴史が窺える。
創業以来の変わらぬ水餃子は、コショウが程よく効いた上湯(シャンタン)スープに浮かべて提供される。薄めの皮にギュギュッと詰め込まれる餡には、豚肉と、キャベツ、ショウガ、長ネギの3種の野菜がバランス良く混ざり、シャキシャキした食感も楽しめる。味つけはシンプルで、スープとともにあっさりイケるから、女性客の胃袋もわしづかみに!
FUJI COMMUNICATION(江戸川橋)
小粒ながら効果絶大。レアスパイスの後味がクセになる
台湾のストリートフードが気軽に楽しめる店として2019年3月に開業。瞬く間に予約必須の人気店へと成長した注目のニューカマーが提供する水餃子は、スパイスでのアレンジが肝。
超粗挽きの豚肩ロースと豚バラが具材のほとんどを占める肉々しさで、頬張った瞬間、口中に肉汁が広がり、水餃子の醍醐味を堪能させてくれる。同時にコショウのような風味とレモングラスに似た香りが鼻に抜けて後味は極めて爽やか。清々しい香りの秘密は水餃子にのった黒い塊。これぞ台湾の少数民族から直接買い付けているレアスパイスのマーガオ。肉の旨味とスパイスの刺激と清涼感が混ざる新しい味わい。