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食べる

本場で餃子といえば水餃子。皮を楽しみながら何個でも。Vol.2〈東京台湾〉〈老酒舗〉etc.

まるでうどんのようにモッチリと厚みのある満洲餃子から、一口サイズの点心風まで、小麦の香りと甘味を存分に噛み締めながら、餡との繊細なハーモニーを楽しみたい。Vol.1はこちら

photo: Shinichiro Fujita, Satoko Imazu, Tetsuya Ito, Manabu Numata / text: Toyofumi Makino, Emi Fukushima, Chisa Nishinoiri, Cook Inoue

東京台湾(中目黒)

台湾各地を旅して完成させたタレと皮を楽しむ一皿

店主・須藤晋次朗さんは、元イタリアンのシェフ。台湾旅行をきっかけに、ハマってしまい〈東京台湾〉をオープンするに至った。“台湾のあちこちを旅し、あらゆる食文化に触れ、吸収し、それらをギュッとしたらこうなりました”という「名物水餃子」は、皮とタレが主役。皮は、強力粉にキャッサバ粉を混ぜて硬めに仕上げ、それを味わってもらうため、あえて餡はシンプルに仕上げている。

もう一方の主役のタレは、ココナッツ、パイナップル、パパイヤなど数種類のフルーツと豆を焼いて漬けた甘味噌のような味わい。台湾食文化を尊重しつつ、独自センスを加えた唯一無二の一皿ここにあり。

中目黒〈東京台湾〉水餃子
名物水餃子/器は日本と台湾で見つけた古き良きもの。不揃いなので、どのお皿でサーブされるのかは来てのお楽しみ。

4個550円。寸:7cm、ヒダ:無、皮:厚、具:普。

老酒舗(御徒町)

自家製発酵白菜漬けの爽やかな旨味が口いっぱいに広がる

1980年代まで北京に多く存在した大衆酒場がコンセプトの店。メニュー表には日本語表記が一切なく、内装も現地の雰囲気そのもの。自家製ドラム缶オーブンで焼いた本物の叉焼(チャーシュー)や烤雞(カオジー)(焼き丸鶏)などのおつまみも本場さながらだが、中でも人気なのが水餃子。

夏場は1ヵ月、冬場は2ヵ月かけて店内で作る、酸菜(スヮンツァイ)を使用した水餃子が特に人気。餡の材料は酸菜、豚肉、ショウガ、味つけも塩コショウ、醤油、ゴマ油と自然由来のものしか使わないのが決め手。乳酸発酵の力だけで、ふくよかな香り、酸味、旨味があり、タレは不要。水餃子はほかに猪肉大葱と素三鮮の計3種類あり、どれも絶品だ。

御徒町〈老酒舗〉酸菜猪肉水餃子
酸菜猪肉水餃(スヮンツァイシシニク)/器は日本と台湾で見つけた古き良きもの。不揃いなので、どのお皿でサーブされるのかは来てのお楽しみ。

3個264円。寸:6cm、ヒダ:無、皮:普、具:普。

中国家庭料理 楊2号店(池袋)

誰もがこの味と店主の元に帰ってきたくなる

明るい人柄で、誰もがファンになってしまう店主の楊鋭意さんは中国四川省出身。祖母が雇っていた料理人から伝授された味をお店で再現している。

水餃子は、モチモチなのに重くない皮、そして噛む前から漂う、生きたニラの香り。噛めばその香りは倍増、そして臭みの全くない肉の旨味が舌を包む。鶏ガラ&豚骨スープや、野菜の旨味が移った油通し油なども餡に加えているそうだ。ゆで汁には花椒を加え、皮にアロマを纏(まと)わせるという芸の細かさに、水餃子への愛を感じる。おいしいお料理の秘訣は“自信を持って、自分がおいしい!と言えるものを、心を込めて作る”とのこと。脱帽です。

池袋〈中国家庭料理 楊2号店〉皮も手作り水餃子
皮も手作り水餃子/お腹いっぱいになっても、まだ口が欲してしまう、そんな水餃子。1人で30個食べてしまう客もいるとか。

5個590円。寸:7cm、ヒダ:無、皮:厚、具:多。