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アガベと樽熟成が織り成す香りのマリアージュ「テキーラ」を学ぶ。まずは抑えたい6本も

こだわりを持った造り手による多彩なスピリッツの登場は、それらをベースとするカクテルにも豊かな広がりをもたらしている。今押さえるべきテキーラについてバーテンダーの若林祐一さんに教えてもらった。

photo: Yu Inohara / text: Emi Fukushima

テキーラと聞くと、ショットグラスに注いで一気に飲み干すアルコール度数の高いお酒をイメージする人も少なくないだろう。だが、「少しずつ飲むことで、本来の豊かな香りやフルーティな味わいを楽しんでほしい」と話すのは、テキーラをメインにした〈Bar 若林〉のバーテンダー、若林祐一さんだ。

「僕も最初は変な先入観があって苦手だったんですが、バーを始めるならばと改めて勉強したところ、100%アガベから造られる香り高いテキーラに出会ってそのおいしさに衝撃を受けました。さらに原産国のメキシコを訪れて人の陽気さにも惹かれ、熱意のある造り手を応援したいという気持ちも湧いてきて。ウイスキーバーを始めるつもりだったのに、気づいたら店はテキーラだらけに(笑)。潔く良質なテキーラに特化したバーにしようと決めました」

まず、この6本!

東京〈Bar 若林〉店内
(1)「カリロサ ロサ・ブランコ」。〈Maroon5〉のアダム・レヴィーン夫妻がオーナー。赤ワイン樽で熟成させたロゼで、フローラルで華やかな味わい。
(2)「トレスムヘーレス エクストラアネホ ダーク」。3年以上熟成され、樽の甘やかな香りが際立つ。
(3)「チュラパランダ アネホ」。スペイン語で“Chula”は「粋な」の意。甘すぎず適度な辛味でバランスが良い。
(4)「G4 シングルバレル レポサド」。水にこだわり、季節によっては製造過程で濾過した雨水を加えることで味に深みを与えている。
(5)「フォルタレサ ブランコ」。テキーラの名門サウザ家の5代目による銘柄。洗練された口当たり。
(6)「エル チャッロ ブランコ」。クリアでスムーズな飲み口。

50種類ほどの品種のアガベを原料とするメスカルに対して、テキーラは5つの州で育成されたブルーアガベの1種類のみ。その分オーク樽で熟成されるものが多く、香りのバリエーションが多いことが特徴だ。

「熟成期間が長くなればなるほど、ラムやブランデーのようにゆっくり楽しむお酒になります。ほとんど熟成させないフレッシュな印象のブランコはさっぱりしたカクテルに合うし、熟成期間が2ヵ月〜1年未満のレポサドや1年以上3年未満のアネホは、程よい樽の香りが香り豊かなフルーツやスパイス系のリキュールとの相性が良い。そして3年以上熟成させるエクストラアネホになると、甘くまろやかで、奥深い味わいに。これはロックやストレートで、ゆっくり味わってもらいたいです」

すでに3000以上の銘柄があるうえ、新しいブランドも年々生まれ、メキシコの国民酒の枠を飛び越え世界で愛されるテキーラ。メスカルと比べて癖が少ないため、スピリッツの第一歩としてもオススメだ。

「メキシコ国民にとってテキーラは、辛い時も嬉しい時も、どんなシーンにも寄り添うお酒だといわれています。従来のように気分を高揚させたい時だけではなく、しっぽり過ごしたい夜のお供としても楽しんでもらえたら嬉しいです」

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