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みんなの、最高の時間。/作家、ジャーナリスト・丸山ゴンザレス

photo: Ryo Kawanishi / text: Daiki Yamamoto

ライフスタイルが変化する今日、最高の時間は人それぞれ。誰かの“とっておきの過ごし方”や、“生活の知恵”を知ることで、豊かな明日につながる。サントリー ザ・プレミアム・モルツの情報サイト「みんなでつくろう!#最高の時間」と、「BRUTUS.jp」のコラボレーション記事では、アーティストやクリエイターにとっての「最高の時間」にフォーカスを当てる。「学ぶ」「聞く」「味わう」「遊ぶ」「見る」の5つのテーマから、話を聞いてきた。

第4回に登場するのは、作家・ジャーナリストの丸山ゴンザレスさん。世界各地のスラム街や危険地帯に潜入してきた人物だ。文筆業のほかTBSの番組『 クレイジージャーニー』でも、ハードな取材の体験談や豪快なキャラクターで人気を集めている。

コロナ禍で海外渡航が難しい現在、丸山さんはどんな日々を送っているのだろうか。近況を尋ねると、「置かれた環境で楽しいことを探すタイプなんで、あんまりストレスもないんですよね」という答えが返ってきた。仕事の面でも生活の面でも、まずは自分自身が楽しむことをモットーにしているという丸山さん。コロナ禍では次の取材に向けて書籍や資料を読み漁ったり、最近では作家の友人とふたりで取り組んでいるTシャツづくりにも熱中しているのだそう。
「海外に行けなくても、国内でできることはたくさんある。文筆業もYouTubeもTシャツづくりも、とにかく面白がって、楽しめることだけをやっています」

そんな丸山さんの、5つの「最高の時間」を尋ねてみた。

BRUTUS サントリー 丸山ゴンザレス
BRUTUS サントリー 丸山ゴンザレス
車で歌舞伎町や六本木を探索することも。「顔見知りの客引きやキャッチに会ったら声をかけて、町の情報を集めています」

「昨年から、車で羽田空港や成田空港を見に行っています。これまで何度も旅の窓口として足を運んでいた場所なのに、空港自体やその周辺の町のことはほとんどなにも知らないな、と思って。夜はほとんど人がいないので、建物のつくりや街並みもよく見渡せる。成田空港の周辺の飲み屋街もちょっと前は空港で働外国人で賑わっていたのに、今は店が全部閉まっていたり、空港の中のテナントの撤退も著しかったり……。コロナ禍以前と以後の変化を観察することで、今までの日本の社会や産業がどういう原理で動いていたのかを知ることができました」

BRUTUS サントリー 丸山ゴンザレス
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イベントにも通うほど大ファンのエレキコミックがパーソリティを務める『エレ片のケツビ!』(TBSラジオ)は毎週欠かさずチェック。

「高校受験の頃からラジオが好きで、今でも作業中や移動中は音楽よりもラジオを聴くことが多いです。今から10年以上前、MP3プレーヤーを手に入れた頃は、録音したラジオを聴きながら旅をしていました。中でも、録音を消さずに保存しているのは、吉田豪さんのネットラジオ『豪さんのポッド』。豪さんがラジオ内で言っていた “割に合わないところに、ライバルはいないよね”という発言が印象的で、講演やインタビューでもよく引用しているんですよ。僕が取材しているようなスラム地域や裏社会のジャンルもまさにそういう“割に合わない”ところなので。ライバルがいないから周りの目を気にせずに自由にやれるし、面白いと思う場所にはどんどん飛び込んでいける。自分が取り組んでいるジャンルがどういうものなのかを明確に意識することができたし、作家、ジャーナリストとして活動していく上でも指針になった言葉です」

BRUTUS サントリー 丸山ゴンザレス
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「体の水分のほとんどがCRAFT BOSSでできている」というほど愛飲しているそう。

「頻繁に海外に出かけていた頃は、日本に帰ってきてまず飲みたくなるのがCRAFT BOSSでした。海外にも缶コーヒーは売ってるんですけど、だいたい味が濃かったりするし、アイスコーヒーも、普通のコーヒーに氷を入れるだけだったりするんで。僕は水のようにがぶがぶ飲めるアイスコーヒーが好きなんで、CRAFT BOSSを飲むと“日本に帰ってきたな”って実感しますね。サントリーさんに媚びを売ってるわけじゃないんですが(笑)。食事の面では……時々、アメリカのバカみたいにカロリーの高いファストフードが恋しくなることもあります。健康診断の数値が悪かったので最近はヘルシーな食事にシフトしてるんですが、インスタでそういうファストフードを紹介している“ Sorry No Salad”っていうアカウントをたまに眺めてますね。出来上がったピザをさらにチーズで挟んでフライにしたり、ハンバーガーもパンからこぼれ落ちるくらい肉を盛ったり、とにかく発想が豪快で面白いんです。あれぐらい振り切った料理は、日本ではなかなかお目にかかれません。一方で、近年のアメリカではフィットネスのブームも到来しているわけです。そういう一見矛盾しているような文化も、アメリカらしくて面白いなと感じます」

BRUTUS サントリー 丸山ゴンザレス
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過去のノンフィクションが、これからの取材の動機になることもある。

「コロナ禍が来てから、時々都内のホテルに本を何冊か持ち込んで読んでいます。『ルーマニア・マンホール生活者たちの記録』『モグラびと ニューヨーク地下生活者たち』など、過去の取材で使った海外のノンフィクションを読み返すことが多いですね。昔読んだことのある本でも、取材の経験を重ねた今改めて読むと興味を抱くポイントが変わっていたり、時間の経過によって新しい発見が生まれることもある。「今、この作品に登場する街や人々はどうなっているんだろう?」という興味が取材を始めるきっかけになることも多いので、地名や固有名詞を調べながら読んでいます。自分の内面と向き合う読書というよりも、この先の取材のアイデアにつながるようなキーワードを探す読書ですね」

BRUTUS サントリー 丸山ゴンザレス
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小泉八雲Tシャツ。世界各国を旅した小泉の生涯をモチーフにしたさまざまな意匠が施されている。左が佐藤究さん。

「アパレルブランドのハードコアチョコレートとのコラボで、“文豪レジェンドシリーズ”というTシャツをつくっています。第1弾では江戸川乱歩、第2弾では小泉八雲のTシャツをリリースしました。これはもともと、直木賞受賞作家の佐藤究(きわむ)くんと2人で始めた遊びなんです。まずは作品を読み直して、どこの出版社が文豪に関する権利を持っているのかリサーチして、いろんな出版社にアクセスして……。そこからようやく文豪の子孫にたどりついて、正式に権利関係の許可をもらって、まだ世に出ていない写真や資料館・博物館で所蔵している写真を貸してもらう。なかなか手間のかかる遊びですが、Tシャツをつくるためにいろんな関係者にアタックしていく過程自体が、文豪の歩みをたどる一つの旅のようで面白いんですよね」

「文学って高尚なものだと思われがちですが、当時の文豪はアウトローで破天荒だし、もともとストリートの文化とは相性がいい。だから、Tシャツという形でストリートに戻したいという気持ちもあります。文学に対するみんなの意識を変えたいというわけじゃなくて、そういう僕らの思惑を誰か一人でも感じ取ってくれたらいいな、と思っています」

コロナ禍以前に海外で取材を重ねていた時と同じように、国内にいてもさまざまな場所をつぶさに観察し、常にアンテナを張って“旅”を楽しんでいる丸山さん。
「“コロナ禍で変わったことは?”ってよく聞かれるんですけど、たぶんそんなに困ってないんですよ。もともと僕はルーティン通りの生活がしたいわけではないし、コロナ禍だったらその環境でやれることを探すタイプだから。Tシャツ作りを通じて日本の文学や文豪について深く学ぶ機会ができたし、普段は見過ごしていた場所に車で行くことで改めてコロナ禍の社会を見つめ直すことができた。変にこだわりを持たずに、今自分の手の届く範囲のことをとことん楽しむ方が、充実した時間を過ごせると実感しましたね」

BRUTUS サントリー 丸山ゴンザレス

#01 dodo(ラッパー)
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