Eat

Eat

食べる

ミュージシャン・澤部渡の「私の食堂、私の一皿」。〈イノダコーヒ本店〉のボルセナ

洋食には「おいしい」や「好き」だけではない思い出や物語があります。あの人は、どんなメニューが好きなんだろう。洋食を愛するミュージシャン・澤部渡さんにお気に入りの食堂と一皿を綴ってもらいました。特別な一皿をどうぞ。

text: Mako Yamato / edit: Koji Okano

連載一覧へ

京都・烏丸御池〈イノダコーヒ本店〉のボルセナ

寄稿・澤部渡

2013年の1月、スカート2度目の京都遠征ではじめて行ったのが〈イノダコーヒ本店〉でした。日本のフォークシーンの草分け的存在である高田渡さんも歌った、三条堺町のあの〈イノダコーヒ〉です。喫茶店というよりはレストランのような店内の座席につき、メニューを開くと「ボルセナ」という文字と目が合いました。

見慣れない言葉に胸が躍りました。注文をして目の前に届いたのは、銀の器に盛られ、シンプルなかわいさに溢れたホワイトソースのスパゲッティでした。具材もハム、マッシュルーム、たまねぎと必要最低限。

でもそれと同時に奥深く、かなり太麺なところにもグッと来ました。あれから10年経ちましたが、今でも京都へ遠征に行くとほぼ毎回〈イノダコーヒ〉に向かい、ボルセナとレモンパイを注文しています。(筆)

京都〈イノダコーヒ本店〉のボルセナ
ハムとマッシュルーム、タマネギをチキンベースの濃厚なホワイトソースで。980円。

連載一覧へ