神奈川・鎌倉〈カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ〉のオムライス
寄稿・三浦哲哉
洋食の魅力は、たとえば小さい頃(私の場合は昭和50年代です)に読んだ、絵本の中の舶来文化の世界、そのメルヘン的な遠さの魅力である、と思います。モーリス・センダックが描いたような、ここではないどこかの食べもの。かっこよくて、洒脱で、夢見心地にさせてくれる。
この魅力を私が一番感じるのが、〈カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ〉のオムライスです。もう何から何まで完璧で。白い皿に収まった姿が、とにかく夢のように素敵です。香ばしく、ほろ苦く、ほっとする味。幻滅する要素が1ミリもありません。
店主の堀内隆志さんが南米で買い付け、焙煎するカフェも抜群においしく、店内でかかっているブラジル音楽のセレクトもすばらしく、「洋」……はるかかなたの魅惑が今も更新されながら息づく、最高のお店です。(筆)