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写真家・細倉真弓の「私の食堂、私の一皿」。〈ディーハートマン〉の特製カツサンド

洋食には「おいしい」や「好き」だけではない思い出や物語があります。あの人は、どんなメニューが好きなんだろう。洋食を愛する写真家・細倉真弓さんにお気に入りの食堂と一皿を綴ってもらいました。特別な一皿をどうぞ。

photo: Satoko Imazu / edit: Rie Nishikawa

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東京・銀座〈ディーハートマン〉の特製カツサンド

寄稿・細倉真弓

まだ大学生だった頃、京都の祇園にあるクラシックなダンスホールで食べたカツサンドがある。ダンスホールの名前も正確な場所も忘れてしまったけれど、いつかまた食べたいとたまに思い出していた。

祖母が祇園でお好み焼き屋さんをしていたこともあり、夜の街でお酒と一緒に食べる食事には、不思議な愛着があった。食事と一緒に街の雰囲気や夢みたいなものを食べている感覚が好きだった。

銀座のバーで出会ったピンク色のカツサンドは、そんな20年前のダンスホールのカツサンドが記憶の中から形を持って目の前に現れたような驚きがあった。分厚いのに、軽くて軟らかくてもっと食べたくなる。そしてただ美味(おい)しいだけではなくて、夜の雰囲気をそのまま具現化したような美しいカツサンド。やっぱり夜の街っていいなと思う。(筆)

銀座〈D-Heartman〉の特製カツサンド
宮城の三元豚を米油で2分揚げ、4分蒸らし、一口で噛み切れる軟らかさを実現。2,000円。

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