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ファッションディレクター・長谷川昭雄の「私の食堂、私の一皿」。〈銀座ブラジル〉の元祖フライチキンバスケット

洋食には「おいしい」や「好き」だけではない思い出や物語があります。あの人は、どんなメニューが好きなんだろう。洋食を愛するファッションディレクター・長谷川昭雄さんにお気に入りの食堂と一皿を綴ってもらいました。特別な一皿をどうぞ。

photo: Satoko Imazu / edit: Rie Nishikawa

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東京・浅草〈銀座ブラジル〉の元祖フライチキンバスケット

寄稿・長谷川昭雄

90年代の『ポパイ』で活躍したスタイリスト喜多尾祥之氏の元に弟子入りした20歳の頃、よく連れてきてもらったのが、この店だった。浅草生まれの師匠は、好きなものが明確。飯は決まった店にしか行かず、いつも同じメニューを頼む。そのルーティンの中で、僕が最も楽しみにしていた店が、ここだった。

オーダーするのは、柔らかく揚げた鶏胸肉の元祖フライチキンバスケット。師匠に倣って、塩を振っていただいたものだ。1本目は単品で。2本目は人参のピクルスとともに、バターをたっぷりぬった、柔らかいトーストに挟んで。師匠と同じものを食べ、同じ時間を過ごし、食事をしながらいろいろな話を聞いた。

あの時間が、自分が『ポパイ』を作る時のヒントになった。チキンバスケットは、そんなことを思い出させてくれるのだ。(筆)

銀座〈銀座ブラジル〉の元祖フライチキンバスケット
フライチキンは紙ナプキンを巻いて手で食べるのが流儀。トースト付き1,200円。

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