八ヶ岳＋αのビール旅程
長野県茅野市の〈エイトピークス〉から出発し、車で南下して山梨県北杜市の2軒をはしご。夕方前に甲州市の〈98BEERs〉着を目指し、併設のホテルに宿泊。保冷バッグやグラウラーも忘れずに。
12:00 エイトピークス北山店
地域密着型ブルワリーのボトルショップ
「日本のホップ栽培発祥の地、八ヶ岳山麓に新たなビール文化を」と、齋藤由馬さん、和花さん夫妻が立ち上げた〈8 Peaks BREWING〉。創業5年の節目に当たる2023年4月、醸造所とボトルショップを新設した。
規模は拡大しても「超地域密着」のコンセプトは変わらず。契約飲食店や販売店は近隣エリア中心で、八ヶ岳山麓の風土に合うビールを醸し、その自然の中で味わってもらうのが狙いだ。定番のビール名は、地域の方言をもとにしたもので、ラベルデザインも山の稜線など自然がモチーフ。地元のホップ生産者とタッグを組み、北杜市産ホップ100%のビールを造るなど、ホップ産地としての八ヶ岳にもフィーチャーする。ショップのオープンは6月末予定。
中央／ホップが香る「Matto Hop IPA」330㎖ 616円。右／八ヶ岳の麓で栽培したホップを100%使用。「Quocoira Ale」330㎖ 616円。 
フルーティな香りの「Meta Wheat Ale」。 
モルトの香ばしさが生きた「Yai Yai Pale Ale」（ショップはボトル販売のみ）。
13:00 UCHUBREWING TAPROOM
人気ブルワリー、待望のタップルーム
ホップのポテンシャルを存分に味わえるアメリカ東海岸スタイルのビールで人気を博す〈UCHU BREWING〉。2022年9月、ファン待望のタップルームを小淵沢にオープンした。タップには、IPAタイプを筆頭に常時10種を繋ぐ。オンラインショップでは即完売する缶ビールも充実の品揃えだ。
農業法人としてスタートし、2018年にブルワリーを設立。「ホップの使用量は世界屈指レベル」と、“隊長”の愛称で親しまれる代表が話すように、自社栽培のものを含めたホップを品種の個性を見極めつつ、ふんだんに使い、フレッシュで鮮烈な味を作り出す。アイテムは200種以上ゆえ、出会いも一期一会。ファーム・トゥ・グラスの精神からクラフトビールの無限の創造性まで、ブランドの世界観が体験できる。
左／醸造ごとにホップの投入量を増やす「LIMIT BREAK」の4作目。350㎖ 940円。
中央／「宇宙LAND」
右／2種のホップをブレンドしたIPA「宇宙GOLD」。350㎖ 700円。
左／スムージーサワーエール「QUARK」。各300㎖ 900円～。
右／バニラが香るIPA「宇宙SHAKE」。
カンパーニュバター400円。フードはほかに北杜市〈サンデイズフード〉のチーズケーキなどがある。
13:30 MANGOSTEEN HOKUTO
飲めて買えて食事もできるビールの複合施設
階段をベンチに、南アルプスに沈む太陽を望めるタップルーム。 
醸造責任者の栗原さん。 
ビール食堂〈万珍包〉。
ブルワリーとタップルーム、酒販店とビール食堂からなる施設が2022年11月、北杜市に誕生。代表の齋藤大典さんは、仕込み水となる茅ヶ岳の伏流水や農作物を育む豊かな日照量に着目し、〈和泉ブルワリー〉で経験を積んだ栗原稔さんを迎えてこの地でビール造りをスタートした。
ショップではビールに加え、自社で輸入するナチュラルワイン、メスカルも販売し、食堂で料理と楽しむこともできる。タップには、酵母由来の風味が生きたビールを中心に自社ビール10種を繋ぐ。フラッグシップはセゾンスタイルの「NEW COLONEY」。工場跡の巨大な建物を生かし、音響設備を整え音楽、アートなどのイベントも仕掛け、ローカルに酒とカルチャーを核とした新たなコロニー（集落）を形成しつつある。
左／苦味控えめ、フルーティな「NEW COLONEY」350㎖ 550円。
右／地元のハーブを使った「ELECTRIC FARM GIRL」350㎖ 660円。
ドラフトはハーフパイント500円～。左／天然塩でミネラル感を加えた「BRAIN WATCH」。 
飲み心地のよい黒ビール「SCHWARTZ」。 
使用済麦芽を皮に加えた蒸し餃子は4種700円～。
15:00 98BEERs
ワイナリー発、宿とタップルーム併設の醸造所
ホテル〈STAY366〉のエントランスに位置するタップルーム。宮嵜さんもカウンターに立つ。 
醸造所が見えるゲストルーム「朱−AKE−」。ホテルは全3室。 
醸造施設は、タップルームからも見える。
甲州市のワイナリー〈98WINEs〉が、2022年9月に開業。「98」の名は、「100ではなく、人との出会いや交わりで100以上の広がりを」という代表・平山繁之さんの思いから。タップルームとホテルも併設し、言葉の通り訪れる人の楽しみを広げている。
クラフトビールは小瓶や缶が主流だが、使用するボトルはシャンパンと同じ750㎖のみ。すべて瓶内二次発酵製法で造られる。きめ細かな泡は食事に寄り添い、食卓を囲み分かち合うスタイルもワインに同じだ。醸造は〈Far Yeast Brewing〉出身の宮嵜尚文さんが担う。自然に惹かれ山梨県に移住したブルワーで、地域の農産物も生かしつつ、熟成による変化を楽しめる味を造る。タップは、定番のドラフトに、ケルシュなど醸造所限定アイテムを加えた5〜6種。
「【叙景】LEMON GOSE」。グラス600円～。 
甲州市産のユズを使用した「【叙景】YUZU BROWN ALE」。 
「鳥の手羽元スパイシーチキン」（4ピース）600円。フードは5、6種。
