一生かけて実践したい
モダンガールのスタイル
断髪、頬紅、ルージュに洋装。西洋文化の影響を受けた、大正末期〜昭和初期頃のモダンガール。外見と先鋭的な個性に憧れを抱き、装いとともに当時の暮らしを実践している淺井カヨさん。
きっかけは、大学時代に図書館で出会った蕗谷虹児と高畠華宵が描いた“モガ”の絵だ。
「現代にはない品があって、すごくモダンで格好いいと思ったんです」
2002年に上京し、2年後に『大正風花見会』という、大正時代風の格好をして参加するイベントを知ることに。資料を手がかりに古着のドレスを探し、断髪にクロッシェのいでたちで足を踏み入れた。
「その時に“私が進みたいのはこれだ!”と、はっきり思いました。入手した正絹のドレスの上質な生地、柔らかい手触りに感動して。当時の洋装はほとんどが仕立てで、ハイクラスの人しか着られないものが多く、モダンガールへの憧憬で胸いっぱいになりました。
それから、毎週のように骨董市に通って古着を探したり、本物の日本のモダンガールを訪ねて当時の話を伺うなど、私なりの研究が始まりましたね。格好だけでは飽き足らず、古道具屋で見つけた氷式冷蔵庫を使うなど、昔の生活を実践しています。自分が一生かけて追求していきたいスタイルです」
1920年代から30年代当時の古着は、日常着からドレスを含めて100着ほど所有。古着を忠実に仕立てることもある。モダンガールを追求し、当時を知るための“研究資料”として、淺井さんの古着探しは続いていく。