Wear

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着る

編集者・トロピカル松村が語る古着と私。70年代のサーフ文化をリアルに体現する

どんな服やカルチャーが響くかは人によって違う。古着好き、といっても実にいろんなタイプがいるものだ。着倒す、愛でる、再生、研究、収集。古着が生活に溶け込んだ8組の個性派たち。古着ワールドは無限なり。

Photo: Ayumi Yamamoto / Text: Seika Yajima

1976〜82年(限定)の
サーフ文化を追いかけて

「僕が好きなのは1976〜82年のサーフカルチャー」と、熱く語るトロピカル松村さん。中学校2年生の時に観たサーフ映画『ビッグ・ウェンズデー』(1978年公開)の主人公のファッションにヤラれて以来、サーフヴィンテージの虜になった。

「赤いネルシャツと薄汚れたブルージーンズ、劇中音楽などすべてが格好よくて。“自分はこのスタイルでサーフィンやりたい!”と思い立ちました。

母親に紹介してもらった50代のオジサンサーファーに海に連れていってもらい、念願の波乗りデビュー。一緒に海やディスコに遊びに行くうちに、日本の70年代サーフカルチャーに触れて、昭和レトロな感覚にハマっちゃって。

そんな感じだから、同世代とは話が合わず友達は50代ばかり(笑)。西海岸やハワイの70年代も好きだけど、日本人の“間違ったアメリカの解釈”のリアルがまたたまらなく好きなんです」

それを体現するのが、コツコツと掘り集めたオリジナルヴィンテージ。
この日は70年代の〈タウン&カントリー〉のジップアップパーカ、日本のウエットスーツメーカー〈ダブ〉のTシャツ、〈サンデッキ〉の海パン、〈ナイキ〉《コルテッツ》。そして「当時の若者がみんな着けてた」という80年代の〈セイコー〉のレディースダイバーがマニアック。

「当時の日本のサーファーの野暮ったさが好きなので、日本ブランドをミックスしたオリジナル完全主義。ダサいと言われようが、“モダンよりもリアル”を追求したいですね」

編集者・トロピカル松村
70年代後半からのサーフファッションをリアルなヴィンテージで追求する28歳。〈ライトニングボルト〉のジェリー・ロペスシェイプを抱え、由比ケ浜を歩く。