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着る

スタイリスト・原田学が語る古着と私。子供の記憶を飾って愛でる

どんな服やカルチャーが響くかは人によって違う。古着好き、といっても実にいろんなタイプがいるものだ。着倒す、愛でる、再生、研究、収集。古着が生活に溶け込んだ8組の個性派たち。古着ワールドは無限なり。

Photo: Ayumi Yamamoto / Text: Kyosuke Nitta

キッズ古着に詰まった
子供たちの思い出

古着愛が高じて、珍しいバックパックやJUNKなものを一冊にパッケージした『THE SUKIMONO BOOK』シリーズではセレクターを担当するスタイリストの原田学さん。

現在43歳、アメカジドンズバ世代なだけに、10代からヴィンテージにどっぷりかと思いきや、意外にも「古着熱が上がったのはスタイリストを始めた22歳。世の中のブームが落ち着いた25歳の時に僕の中で絶頂でしたね(笑)」とやや遅れてのスタート。

だからこそ彼の古着観は少々違う。「詳しいマニアの先輩には太刀打ちできないから」と、古くて稀少なものには目もくれず“ぱっと見の面白さ”を最優先。2人の子供たちのために購入したキッズ古着も「形が変でかわいい」という視点で選んだ。

「リーバイス®の70年代のトラッカージャケットは大人のものをそのまま小さくしてるからボタンやピスネームが大きく着丈も短くてアンバランス。スエットのロンパースも、針抜きリブでガラスボタンってのがいい」

確かに壁に掛かっているとより面白さが際立つがこの2着を飾っているのは単にオブジェとしてではない。

「職業柄、子供がどう着こなしていたかが浮かぶんです。例えば娘はジャケットに青いワンピースを合わせ、胸元にウサギのバッジをつけていたなぁとか。この2着は息子と娘2人それぞれが“らしく”着ていたので、特に思い入れがありますね」

幼かった頃の子供たちの記憶。忘れたくないからこそ、彼は大好きな古着を通して思い出す。

スタイリスト・原田学
自宅のソファで団欒する原田学さんと娘の玖楽ちゃん。壁に掛けられたヴィンテージのロンパースと緑色のトラッカージャケットは、子供2人が代々袖を通したもの。