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古着店店長・アベヒロユキが語る古着と私。オールドステューシーの魅力にハマって

どんな服やカルチャーが響くかは人によって違う。古着好き、といっても実にいろんなタイプがいるものだ。着倒す、愛でる、再生、研究、収集。古着が生活に溶け込んだ8組の個性派たち。古着ワールドは無限なり。

Photo: Ayumi Yamamoto / Text: Kyosuke Nitta

オールドステューシーを
次世代へ繋ぐ伝道者

たかがTシャツ、されど、その一着で人生が変わることもある。

アベヒロユキさんの場合、「偶然古着屋でオールドステューシーの総柄Tシャツを見つけて一目惚れした」というのが18歳の時。
それを皮切りに13年でコレクションは1,000を超え、2015年の12月にオープンしたオールドステューシーを中心に扱う〈ペンギントリッパー原宿店〉では念願の店長に!そこまで虜になった理由を聞くと「パンク」と意外な答えが。

「ブランドの創設者ショーン・ステューシーの感性と姿勢に惹かれます。僕が今日着ているシャツは80年代後半に発売された“中世柄”と呼ばれるものですが、このシリーズは、権利団体からのクレームで発売禁止になったといわれていて、ほかにも無許可で写真やロゴをカット&ペーストして回収になったアイテムがたくさん。

でも、その後も懲りずに“かっこよけりゃいい”と繰り返す。それってパンクじゃないですか?しかも、オールドステューシーと一口に言っても、人によって捉え方が違う。レゲエ、サーフ、ヒップホップ、ストリート。ここまで振り幅があるブランドはほかにない」

多様性があると、普通どれか一つに興味を絞りがちだが、彼は違う。各年代のスタイルの変遷を細かくチェックし、サンプリングの元ネタの服まで掘り起こして販売するという徹底ぶり!一着で大きく変わったアベさんの人生。

「次は僕が誰かのきっかけを作る番です」と、伝道者として熱い使命感に燃えていた。

原宿〈ペンギントリッパー〉店長・アベヒロユキ
自身が店長を務める〈ペンギントリッパー原宿店〉で、オールドステューシーのTシャツを整理するアベヒロユキさん。ポスターなどの見せ方にもこだわりが窺える。