焼き物文化を受け継ぐ地元・東濃の作家にフォーカス
岐阜県多治見市の中心を流れる土岐川のほとりにある〈山の花〉。多治見を含む東濃地区には、古くから美濃焼や瀬戸焼が伝わり、今も数多くの作家たちが窯を開き、活動を続けている。意欲的な作り手はたくさんいるのに、それをきちんと伝える手段が地元にはない。そんな地域の手助けをすることが少しでもできればと、オーナーの花山和也さんはギャラリーをオープンした。
取り扱い作家のほぼ全員が東濃を拠点としており、一つの地域にこれほどまで幅広い作風を持った作り手が揃っていることに驚く。
地元作家の中でも、注目の若手は1991年生まれの長塚正平。滑らかな手触りの焼き締めの器は、ストイックなまでにシンプルな形と土本来の風合いが魅力だ。「もの作りと真っすぐ向き合う実直さ、素直なまなざし。焼き物の魅力とともに、作家の美しい人間性もきちんと伝えていきたいですね」。
10年前に名古屋から移住し、陶芸家のアシスタントやマネジメントを経て、2019年に現職に就いた花山さん。頻繁に作家の工房を訪れ、作業の手伝いもしながら親交を深め、器の魅力を探り出す。