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信頼できる目利きがいる器の店。大分〈SPICA〉

旅の目的地になる、魅力的な器の店が増えている。BRUTUSが注目したのは信頼のおける目利きが営み、店頭に立つ現代器作家のギャラリー&ショップ。彼らは、今どんな80〜90年代生まれの新世代作家に注目しているのか?器のこと、作家のことを聞いてみよう。

初出:BRUTUS No.992「器の新時代。」(2023年9月1日発売)

photo: Yasuka Fujishima / text & edit: Ai Sakamoto

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使うほどに“旅の思い出”が蘇る。そんな手仕事を作家とともに紡ぐ

鉄骨剥き出しの天井に、味のある古道具を用いた什器(じゅうき)。かつて表具屋を営んでいた祖父の仕事場をリノベした店内には、器から暮らしの道具、アパレルまで幅広く揃う。その様子を眺めながら、「自分の好きなものだけを置いています」と笑うのは店主の高野豊寛さん。

「日常を豊かにする“旅の思い出”を持ち帰ってほしい」と、2008年に妻のかおりさんとともに、ここ〈SPICA(スピカ)〉をオープンした。

15年の間に扱う作家は50名近くになり、店もギャラリーを併設して拡張。亀田大介・亀田文、松原竜馬、角田淳ら大分を拠点とする作家を中心に他エリアもカバーする。「方向性を同じくする作家さんと一緒に歩んでいきたい」と高野さん。物静かだけれど芯に一本通った店主が選ぶ手仕事は、どれも美しく、使い込むほど魅力が増してくる。

「高知の長野大輔さんの作品も面白いですよ。特に錆釉の器は焼き加減などによって大きく表情が変わる。独特の質感ながら、ご飯をおいしくする器です」。2022年には、音楽をテーマにした姉妹店〈puno(プノ)〉をオープン。高野さんの“旅の思い出”探しは続く。

大分〈SPICA〉オーナー・高野豊寛
手前が器や生活道具の常設展、奥はアパレルなどを販売している。

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