センスへの絶大な信頼を集め、常に進化し続ける定番店
京都で現代作家の器といって、まず名前の挙がる存在。開業時からじっくり向き合い扱ってきた岡田直人や伊藤総信(あきのぶ)ら人気作家から、高木剛や松葉勇輝ら韓国古陶磁へのリスペクトを感じさせる薪窯、古物、台湾で買い付ける中国茶器まで幅広いセレクトには店主・林七緒美さんの確固たる信念がある。
「見た目の美しさと機能性を兼ね備えていること。日常使いには丈夫であることも大切。貫入が入ったり色が変化したり、育っていく器も愛してやみません」という。
「岐阜県多治見市で作陶する中坊優香さんの白い釉薬はマットな質感が優しい印象。銀彩は裏側までたっぷりとかけられているのが贅沢です。それなのに値段も手頃。使えば銀食器のように黒く渋みを纏(まと)って変化する様子も楽しんでもらえたら」
開業から18年。近年はとりわけ和食器に惹かれると林さん。変化する感覚に馴染むよう、2021年には店の半分を改修。明るく李朝箪笥(だんす)が印象的な空間が誕生した。22年には〈分室カスタド〉を新設。常に進化し続ける様子は、革新が伝統を作り上げる京都の老舗のよう。とどまることを知らないのだ。