助言し、育て、世に送り出す。作家とは家族のようなもの
料理人としての道行で器に出会った西坂晃一さんが、東京の下町で古道具屋〈白日(はくじつ)〉を開業したのが2016年。自身も1980年生まれと、器の世界では若手ながら「古物を見ない作家は信用しない」と言い切り、「どのギャラリーに作品を置くかは作家が決める時代なのかもしれません」と、SNS時代における作家とギャラリー、さらに器を使う人の関係を分析する。
同時に、家族のように感情移入できる、一生付き合っていきたい作家に限定して、具体的な器作りのアドバイスもしながら時間をかけて関係を深める。納得のいく作品の完成を待って個展を企画し、個展が始まれば、SNSで言葉を尽くし、写真で魅し、作品のみならず作家本人の魅力も発信する。
客としてギャラリーを訪ねてきたところから付き合いが始まった永瀬二郎は、1990年生まれの作家。純アルミの器だけでなく日用品や家具なども作り、海外からの注目度も高い。
「どの作品も、アルミという響きから想起されるチープさとは無縁でね、手磨きでマットに仕上げた皿は、テクスチャーを加えすぎないという現代の作家らしい感覚も感じさせてくれます」。