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写真家・衛藤キヨコの忘れられない味。香川県〈宮川製麺所〉のかけうどんと天ぷら

「人生変わっちゃったかも」。そう思えるほどの食体験を持っている人は羨ましい。その味への再会を思い浮かべながら過ごす日常は、すでに十分幸福なはず。写真家・衛藤キヨコさんが旅先で出会った、特別でかけがえのない一皿。その思い出を存分に語ってもらった。

illustration: Hagie K / text: Ikuko Hyodo / edit: Ichico Enomoto

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ふんだんに使ったいりこで
だしが輝く、至福のうどん

〈宮川製麺所〉のかけうどんと天ぷら イラスト

いりこの島といわれる伊吹島産いりこで商品を製造・販売している〈やまくに〉さんの撮影に伺ったとき、ご主人に連れていってもらいました。かけうどんのだしにはもちろん、やまくにさんのいりこを使っているのですが、その量が尋常ではなく、黄金色に輝いています。

この店は、丼に麺を入れてもらったら、あとはセルフ。湯切りざるを使って自分で麺を温めて、だしをかけるのですが、寸胴鍋に入っただしの底にいりこがたっぷり沈んでいるんです。だしを取った後のいりこなのに、風味がきちんと残っているので、忘れずに底からすくってください。天ぷらも充実していて迷うのですが、私は半熟ゆで卵とちくわにしました。

薬味好きとしてはショウガ、ネギなどいろいろ入れたいところだけど、だしと麺を味わいたいので、ここは少なめに。そして麺は、製麺所だけあって硬すぎず軟すぎず絶妙なこしで、つるつるっと喉を過ぎていきます。すべてのバランスが取れた完璧な一杯……。今思い出しただけで口の中がキュッてなってます(笑)。

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