口の中で旅をしている気分になる、魚三昧なコース
僕は今、2拠点生活で東京と静岡を行ったり来たり。静岡では、駿河湾の新鮮な魚が山ほど食べられるのがいつも楽しみ。〈シンプルズ〉は、伝説の魚屋〈サスエ前田魚店〉から魚を仕入れていて、それもこの店の価値の一つ。看板メニューは〈サスエ前田魚店〉による、水揚げ後の処理で究極の歯応えと旨味を実現した「もち旨鰹」のステーキ。
井上靖彦シェフの料理は、素材の味をきちんと生かしながらも、自分のクリエイションをちゃんと加えている。その塩梅が絶妙です。
静岡にはブラジル人がたくさん住んでいて、ブラジルの食材も手に入るんだけど、地元のそういう文化を取り入れているところもユニーク。コースでは魚がとにかくいっぱい出てきて、一皿一皿がおいしいだけじゃなくて、面白い。
初めて体験する味わいばかりだから、また魚?とは一度も思わない。甘味や辛味、(山椒の)痺れなど、さまざまな感覚が口の中に現れて、食べることで旅をしている気分に。シェフは料理はもちろん、旅も好きなんじゃないかな。