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ビール愛がスゴい町の酒屋。中目黒〈出口屋〉、神泉〈平野屋酒店〉

町で愛される酒屋の中にも、クラフトビールの愛好家が、そこここに。彼らがセレクトするビールが並ぶセラーには、醸造家やインポーターとの深いつながりあってこそ、のボトルや缶が。クラフトビールにハマった理由や品揃えの方向性について、聞いた。

初出:BRUTUS No.944「ビールについて語らせろ!」(2021年8月1日発売)

photo: Koh Akazawa / text: Emi Suzuki

出口屋(中目黒)

語る人:杉田剛史

ブルワリーとの信頼関係が垣間見える、唯一無二のラインナップ!

昭和8(1933)年創業の〈出口屋〉に、杉田剛史さんが入社したのは2006年頃。当時はワイン中心の酒店だったが、クラフトビールの人気が広まりつつあったこともあり、杉田さんがビールのバイヤーを任された。

中目黒〈出口屋〉店内
「個人的に大好き」など、ポップからもバイヤー杉田剛史さんのビール愛が伝わる。

「ビール選びの基本スタンスは、蔵元と直接取引すること。だから国内ならブルワリーに極力足を運んで、醸造家の思いをヒアリングします。たとえ少し味にブレがあったとしても、造り手の個性や生き方までもが滲(にじ)み出てくるようなビールほど魅力を感じます。流行に流されることなく、長く付き合いたい。限定ビールだけでなく、定番品も大切にすることで信頼関係が築け、生産量が少ないビールも仕入れることができるので、安定して商品をお客さんにお届けできています」

平野屋酒店(神泉)

語る人:店主・平野明良

商品の回転が速く、新作も続々入荷。一期一会のおいしさを体感できる酒屋

明治40(1907)年創業の老舗を、5代目店主の平野明良さんが〈ブラッセルズ〉などでバーテンダーの経験を積んだ後に、2013年クラフトビール中心の酒屋兼ビアスタンドに改装。さらに2021年3月に同じビル内の隣に移転し、スペースを3倍拡張、商品も拡充。

神泉〈平野屋酒店〉店内
日本未上陸のブルワリーと取引して、卸売りもする予定と5代目の平野明良さん。

「当初はベルギーに特化していましたが、IPAブームにより、アメリカ、カナダのビールも増やしています。特にカナダは、アメリカに比べて日本での認知度がまだ低いですが、自分が留学していたこともあって力を入れています。カナダは、アメリカ北西部を中心に醸造されるノースウェストスタイルIPAの流れを汲んだモルト感の強いしっかりとしたボディが特徴。新作や話題の商品も積極的に仕入れて、お客さんに新たな出会いを提供したいです」

ビール愛がスゴい町の酒屋。京都〈山岡酒店〉、川崎〈すがや〉