東京リバーサイド蒸溜所(蔵前)
隅田川の近くに立つ
2020年設立の蒸留所
印刷工場だった建物を生かし、1階に蒸留器とボトリングスペース、中2階にお酒を貯めるタンク、と機能がぎゅっと詰まっている。造っているのは、酒粕や廃棄前のビールを原酒にしたエシカルなジン。
2月に初めてオリジナルで製造した「CACAO ÉTHIQUE」も、これまで捨てられてきたカカオの外皮を使用。オレンジジュースで割るのがおいしい。
「東京は日本の中心地だからこそ、全国各地とつながりやすい。日本を代表するようなお酒を造るのにぴったりの土地だと思うんです」と、運営の小野力さん。
虎ノ門蒸留所(虎ノ門)
2020年
虎ノ門ヒルズビジネスタワー3階にオープン
「蒸留器を運び上げるのにも一苦労でしたよ(笑)」と、東京ならではの苦悩を教えてくれたのは蒸留家の一場鉄平さん。辰巳蒸留所でジン造りを学び、ボタニカルの数を絞ったシンプルなスタイルを模索している。
そんな中、8月に製造したのが「八丈島の月桃とパッションフルーツ」。
八丈島の麦焼酎「情け嶋」で造ったリキュールがベースで、トニックとの相性がいい爽やかな香りが立つ一本。
「東京のお酒や植物を生かしたジンは未開拓ゾーン。島も山も、時には道端の草木にだって目を向けていきたいです」
東京クラフトリキュール(板橋)
東京にも、たった1人で蒸留所を立ち上げた人がいる
元バーテンダーの片野龍さんだ
「10年ほど前から、ハードリカーを飲む人が減っていることを肌で感じてきました。とにかくおいしいお酒を造るためにひたすら研究を重ねて」と、その期間は約10年。早い時期にリキュールを造るための蒸留所免許を取得したという苦労人だ。
お酒はどれも栓を抜いた瞬間から華やかな香りを楽しめるものばかり。イブキジャコウソウなど手に入れにくい一部のボタニカルは同じ板橋区の成増に借りた畑で自ら育てるほど。
物と人が集まる東京だからこそできる、超マイクロディスティラリーだ。
常陸野ブルーイング 東京蒸溜所(秋葉原)
秋葉原駅と御徒町駅の間
山手線が走る高架下で2019年にオープン
フクロウがトレードマークの「常陸野ネストビール」を造る木内酒造にとって、東京で初めての蒸留所だ。担当の石崎聖さんはバーテンダー出身。同社の八郷蒸溜所で学び、廃棄前のビールを蒸留するジン造りをスタート。
コリアンダーやシナモンなどのスパイスやボタニカルが収まるガラス瓶が並ぶ蒸留所の中は、まるでラボのよう。
「レモンやユズなどの柑橘類やビール造りにも使われるホップ、本拠地の茨城県の名産品であるリンゴなども使ってきました」。併設のバーエリアでは、ジンソーダを飲むことができる。