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台湾の食通7人が案内する台北グルメガイド 〜ティータイム編〜

グルメの町・台北。久しぶりに訪れたからには、朝・昼・晩はもちろん、ティータイム、散策のお供のおやつ、一日の〆まで、一度もハズすことなくおいしいものが食べたい。今回はそんな観光客のために、台湾が誇る美食家7人が「日本から台北に来た友人を連れていくなら」をテーマに飲食店を厳選。めくるめく台北食い倒れツアー、スタートです!

photo: Koh Akazawa, Keiko Nakajima, Kazuharu Igarashi, MEGUMI / text: Yuriko Kobayashi, Kei Sasaki, Ikuko Hyodo, Ai Sakamoto / coordination: Chen Tsuiwen(MPX), Machiko Suzuki, Mari Katakura, Kuo, Taiyen

下午茶
ちょっと一息入れたい時間。
成熟したお茶文化を背景に、
ますます盛り上がるコーヒーブームを担う上質なカフェから、
王道スイーツの豆花まで。

巴賽麗廳 La Brasserieのスフレ

教えてくれた人:江振誠(シェフ、フードコンサルタント)

40分待っても食べたい最高のスフレ。ブラッスリーでアフタヌーンティーを

ザ・ランディスホテル内にあるフレンチレストラン。注文後、40分ほどかけて焼き上げるスフレが大人気で、これ目当てに来店する人も多い。「30年ほど前、僕が働いていたレストランで、スフレの作り方はずっと変わらず丁寧で繊細。口に含むとシュワッと溶けていく食感が素晴らしい。クレープなどほかのデザートも最高!」。熱々のスフレをまずはそのまま。チョコレートやオレンジなど3種付いてくるソースを好みでかけて食べると、何度も感動を味わえる。

天空興波 Simple Kaffa Solaのアフォガート

教えてくれた人:林蓉(飲食コンサルタント)

バリスタ世界チャンピオンが率いる天空のスペシャルティコーヒーサロン

世界バリスタチャンピオンシップ2016年の優勝者、吳則霖さんが最新のカフェを〈台北101〉にオープン。地上88階、空を間近に感じるカフェだ。「コーヒーにも、記念日のための特別があっていい」と、吳さん。カップ・オブ・エクセレンス(国際品評会での最高品質認定)の豆からアシェットデセールのようなスイーツ、コーヒーカクテルまでふさわしいメニューを揃える。「クールなアート作品も見応えがあります」

冰霖 古早味豆花の豆花

教えてくれた人:葉怡蘭(エッセイスト)

昔ながらの製法にこだわる、じんわり優しい味わいの豆花

豆花(ドウファ)激戦区の寧夏夜市周辺で、1996年にオープンした人気店。「古早味(昔ながらの味)」と冠するだけあって、製法は伝統的。大量生産できるゼラチンは使わず、食用の石膏粉でゆっくり凝固させることで、大豆の風味が生き、滑らかな口溶けになる。葉さんはシロップではなく、さらに豆乳をかけるのがお気に入り。「繊細な味わいの豆花に濃厚な豆乳が加わって、食感がさらに良好になります。トッピングも選択肢が豊富で、どれも高いクオリティです」

HUGH dessert barのアイス

教えてくれた人:陳小曼(フードデザイナー)

デザートは脇役なんて言わせない!ワインと楽しむ、芸術的なスイーツ

デザートだけのフルコースを提供する気鋭のスイーツレストラン〈HUGH dessert dining〉が2023年2号店として出店したカフェ。「旬の食材や手作りのアイスを使ったメニューは、シソやフェンネルなどの野菜が入ることもあり、どこまでもクリエイティブ!季節ごとにメニューが替わるので、何度でも行きたくなるんです」。一皿ごとに合うワインをペアリングしてくれるサービスも。夜の営業もあるので、ディナーの〆にも。人気店ゆえ予約するのがベター。

菸花《Op.118.2》のコーヒー

教えてくれた人:徐天麟(美食家)

一編の物語のように味が移ろい、余韻を楽しめるコーヒー

迪化街の路地の突き当たりに佇む、いかにもセンスの良いカフェなのだが、ラテやカプチーノなどは「ほかと同じで面白くない」という理由で置いていない。1席しかない〈一席咖啡〉など話題のカフェを手がけてきたオーナーの高振御さんは、コーヒーのスペシャリスト。「豊かな発想にしばしば驚かされる」という徐さんのお気に入りは梅酒入りコーヒー。「グラスの縁の塩で、梅の酸味と深煎りコーヒーの苦味が強調される。一杯で多彩な味を楽しめます」

COFEのお茶とスイーツ

教えてくれた人:徐仲(食文化研究者)

Bean to BarならぬTea to Bar。台湾茶を使ったスイーツはいかが?

台湾の農作物を使った食のブランドをいくつも展開する顧瑋さんが、2019年に開いたカフェ。シグニチャーは一見チョコレートに見える、台湾産のお茶とコーヒーを使ったスイーツ「COTE」と「COFE」。お茶もしくはコーヒーにカカオバターを加えて低温製法で風味を抽出し、大豆の粉で乳化させたユニークな一品で、カカオを含む原料はすべて台湾産というこだわりだ。「ここに来れば台湾産のコーヒー、お茶の味わいがわかりますよ」と徐さんも太鼓判を捺(お)す。

濟南牛肉麵專賣店の牛肉麺

教えてくれた人:千千(大食いYouTuber)

一見濃厚、味はコクあり、キレあり、軟らかな肉も美味なスパイシー牛肉麺

牛肉麺は、透き通って端麗な清燉か、醤油風味のスパイシーな紅燒かに分かれるが、紅燒系の名店として知られるのがこちら。店の数m先まで漂う香りよろしく、漢方やスパイスたっぷりのスープは、一見して濃そうだが、塩辛さではなく凝縮感が基調になっている。大ぶりの肉や牛スジも、クセがなく軟らか。「台北中の牛肉麺店はだいたい食べ歩いたけれど、ここが一番。激混みの昼時を避けてでも食べたいので、もっぱらおやつタイムに駆け込んでいます」