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台湾水果探險。ジュースやアイス、かき氷に豆花…台湾でおいしいフルーツデザートの旅

朝粥、刀削麺、小籠包……おいしいが溢れる台湾には、季節や時間を問わず行列ができる店がある。水果店だ。果物盛り合わせ、かき氷、ジュースにアイスと千変万化。24時間フルーツ愛の国・台湾へ。


初出:BRUTUS No.827「フルーツ手帖」(2016年7月1日発売)

photo: Norio Kidera / coordination: Mari Katakura

果物の盛り、惜しげもなく

恋人同士、家族、女友達、そして男同士だって。みんなでスプーンを持って、一つのフルーツデザートを我先にと頬張る姿は、台湾の定番の風景だ。

裕成水果店のフルーツミックスかき氷

台湾フルーツを一気に味わうなら、「鮮果冰」一本勝負だ!
オーナー自ら毎朝3時に青果市場へ足を運び、仕入れをする〈裕成水果店〉。その日、その時季の旬を市場で選び、盛り合わせた鮮果冰が人気の店だ。甘さ、酸味、爽やかさ、バランスを考えながら氷の上に盛られるフルーツは、スイカ、パイナップル、ドラゴンフルーツ……と10種類を超える。氷の上で表現されるフルーツパラダイスなのだ。

清吉水果のフルーツジュース

色とりどりのジュースのレシピは、甘酸っぱさに“健康”をプラス
この店に入ったら、メニューをじっくり読んでほしい。例えば、帝王木瓜牛奶(布丁+養樂多+鷄蛋)。パパイヤ、プリン、ヤクルト、卵、牛乳を混ぜた帝王のような味、なのか⁉はたまた木瓜檸檬蜜(馬上通)。パパイヤ、レモン、蜂蜜が便秘に効く、と。朝に深夜にフルーツ好き、健康志向の人が列をなすのも納得だ。

泰成水果店のメロン×シャーベット

台湾の新鮮フルーツと、イタリアンジェラートの融合
台南旧市街・正興街は、カフェや雑貨店が続々開店、台湾で注目される再開発エリアだ。その街で3代目と4代目が店を切り盛りする1935年創業の老舗水果店が〈泰成水果店〉。看板メニューのメロン×シャーベットは、4代目がイタリアでジェラート作りを学び開発、人気メニューとなった。温故知新・正興街を牽引する旗艦店ともいえる場所だ。

有間冰舗のマンゴーかき氷

新幹線とバスを乗り継いで、食べるべき本物のマンゴーかき氷
マンゴージュースを固めた氷(冰磚)を削り、熟したマンゴーを見極め、その場でカット。青マンゴーをのせ、自家製マンゴーソースをたっぷりかけて、さらにマンゴーアイスもon。マンゴーの産地・玉井近くにある〈有間冰舗〉の名物は、構成要素すべてマンゴーでできている、世界に二つとない逸品。メニュー名が表す通りの「芒果無雙」だ。

陳記百果園のフルーツアイス

台北に行ったら毎日1アイス。ドライ水果にジャムと土産充実
手作りアイスは約20種類。マンゴー、バナナといった定番に加え、ライチ、キンカンなどが加わる。この店の目玉は、冬場でもフレッシュマンゴーを食べられること。南投産「四季マンゴー」は、ほかの種類より高価だが、値上げせずに提供。台湾一の高級フルーツパーラーを自負するプライドか。冬に台湾を訪れる人は、ここで本場マンゴー体験を。

騒豆花のフルーツ豆花

豆腐×果物という、日本人に馴染みあるスイーツが台湾に
外から見ると喫茶店。続々客が入り、長居することなく、程なくみんな出てくる。食後のデザートを欠かさない台湾の人にとって胃袋の憩いである豆花、その名店である〈騒豆花〉。台湾名物にフルーツをトッピングするのは、台北でもこの店だけだろう。夏はスイカとマンゴー、冬はイチゴ。食べすぎ台湾旅行にはすっきり爽やかヘルシーもどうぞ。

冰讚のマンゴーかき氷

マンゴーの旬時しか開かない、半年だけのマンゴーかき氷屋
台北・蘭州市場で40年果物屋を営む家で育った陳彩琴さんが15年前に創業した〈冰讚〉。看板メニューは、実家から質の高いマンゴーを送ってもらい、注文が入ったらカットしてのせる「芒果雪花冰」。氷は程よい甘味をまとうミルクかき氷を削って。マンゴーの味を知り抜く店主が生み出した、マンゴーをよりおいしく食べるためのかき氷がコレ。

台湾の人にとってフルーツが特別な食べ物である理由

鳳梨、芒果、茘枝、釋迦、百香果、香蕉、火龍果、蓮霧、木瓜、芭樂。これら全部の意味するところを知る人は、なかなかの台湾通、もしくはフルーツ愛の人であろう。

答えは、パイナップル、マンゴー、ライチ、シャカトウ、パッションフルーツ、バナナ、ドラゴンフルーツ、レンブ、パパイヤ、グアバ。日本でのマンゴーかき氷ブームのおかげか、台湾といえばマンゴーと思われがちだけれど、列記した通り、トロピカルフルーツの宝の国。街は果実の香りで溢れている。

朝から深夜まで、街の水果店(フルーツ店)の行列が途切れることはない。朝は家族連れ、昼間は喫茶店代わりに学生たちが。夜は同僚、友人同士で食事のあとの二次会として。一つの皿に盛られた各種果物やフルーツかき氷をみんなでつつき合い、フルーツジュースに何本ものストローをさし、おしゃべりに花を咲かせる。特に台南ではお酒を飲む人が少なく、サードプレイスとして、朝の3時まで水果店に訪れる人が多いという。

台湾では、野菜や果物の「陰陽」(カラダを温める性質か冷やす性質か)に詳しい人が多い。水果店に行ったなら、店主や隣の客に話しかけてみるといい。体調に合わせて、その日その時期食べるべきフルーツを教えてくれる。カラダにココロにうれしい食べ方を知る、それも台湾水果探險の醍醐味だ。