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台湾の食通7人が案内する台北グルメガイド 〜テイクアウト編〜

グルメの町・台北。久しぶりに訪れたからには、朝・昼・晩はもちろん、ティータイム、散策のお供のおやつ、一日の〆まで、一度もハズすことなくおいしいものが食べたい。今回はそんな観光客のために、台湾が誇る美食家7人が「日本から台北に来た友人を連れていくなら」をテーマに飲食店を厳選。めくるめく台北食い倒れツアー、スタートです!

photo: Koh Akazawa, Keiko Nakajima, Kazuharu Igarashi, MEGUMI / text: Yuriko Kobayashi, Kei Sasaki, Ikuko Hyodo, Ai Sakamoto / coordination: Chen Tsuiwen(MPX), Machiko Suzuki, Mari Katakura, Kuo, Taiyen

外帶
台湾グルメは食べ歩きも楽しい!
屋台で買って観光のお供にしたい、揚げ物、おやき、炭火焼きなど、
おやつ感覚でつまめる絶品をご紹介。

初炸小食店の揚げ物

教えてくれた人:江振誠(シェフ、フードコンサルタント)

スペインバル風の“揚げ物スタンド”でフライとスパークリングワインを

肉や魚の練り物、野菜など、好きな食材を選んでその場でフライにしてもらえる楽しい“揚げ物スタンド”。「台湾では珍しく、いいワインがあるのが嬉しい。揚げ物にぴったりのスパークリングワインもグラスで注文できます。店内のイートインスペースや店先のベンチに腰かけて、揚げたてのフライで一杯。スペインのバルみたいなノリで食べられるのが気に入っています」。もちろんテイクアウトもOK。熱々を頬張りながら夜の台北を歩くのも、楽しいはず!

泰家餅店の蔥油餅と韭菜盒

教えてくれた人:林蓉(飲食コンサルタント)

生地から作る蔥油餅、韭菜盒……手仕事で守り継ぐ中国山東省の味

「子供の頃から食べているのに、素朴で食べ飽きないんです」と絶賛するのが、仁愛路圓環そばに立つ〈泰家餅店〉の蔥油餅(ツォンヨウビン)や韮菜盒(ジウツァイフォウ)。創業四十余年、現在77歳の2代目が中国山東省にルーツを持つ店の味を守っている。パイ生地状の蔥油餅や、ニラがたっぷり詰まった韭菜盒は、店内の工房で一から作られる。冷水でこねる生地の仕込みから、独自の窯で油を使わず焼く乾烙という製法まで手間がかかるが、コシがありながら軽やかな生地の食感は唯一無二。

江蘇菜盒店の韭菜盒

教えてくれた人:葉怡蘭(エッセイスト)

江蘇省の味を台湾風にアレンジ。リピートしたくなる素朴なおやき

東區はデパートなどが集まる洗練されたエリアだが、少し奥まったところに行くと庶民的な雰囲気が。「公共住宅1階の通路にあって見つけにくいのですが、素朴で確かなおいしさが評判です」。店主は中国江蘇省出身の女性。油を使わず、小麦粉に冷水とお湯を適度なバランスで混ぜてこねた生地は、もっちりとした弾力。餡は写真のほかに、豚肉や高菜など種類も豊富。台湾人の口に合うよう、あっさりとした味わいに仕上げている。店内で食べることも。

正記麻油腰只・筒仔米のモツスープ

教えてくれた人:陳小曼(フードデザイナー)

ローカル感溢れる夜市で食べる疲れが吹っ飛ぶ、モツスープ

観光客があまり訪れず、ローカルな雰囲気が残る遼寧夜市にある屋台は、豚の腎臓を使ったスープ「麻油只腰」が名物。フレッシュなモツを注文が入ってから調理するので臭みはナシ。ゴマ油の香ばしさがクセになる。「体調がすぐれない時でも、これを食べたら元気になるお守りのようなスープ。プリンとした弾力があって、その食感の楽しさにハマる人も多いですよ」。レバーだけ、モツミックスなど、メニュー豊富。テイクアウトに加えて、イートインも可能。

阿忠碳烤の炭火焼き

教えてくれた人:徐天麟(美食家)

台湾〈阿忠碳烤〉炭火焼き
上から、雞腿(鶏もも肉)90元、香菇(シイタケ)35元、鷄肉串(鶏の正肉)40元、甜不辣(さつま揚げ)30元。雞腿は、焼く前にスパイスの効いたタレで調理しているので、味が染み、香りも豊か。

道端の屋台から人気店へ。選ぶ過程も楽しい炭火焼き

炭火で肉を焼く香ばしい煙に誘われ、道で足を止める人がちらほら。「30年以上の歴史を持つ店ですが、昔は屋台で肉を焼いていました。バイクで通りかかったときに、“これ焼いて!”と気軽に買っていたのですが、今ではすっかり人気店です」。注文方法は、ショーケースから好きな串をトレーに載せて、番号札と引き換え。焼き上がったら最後に料金を払う。タレは、小辣(ピリ辛)、大辣(大辛)、不辣(甘口)の3種類。甘辛さが食欲をそそる。

Le Ruban Pâtisserieのケーキ

教えてくれた人:徐仲(食文化研究者)

干し貝柱と豚肉、エシャロット入りのケーキに台湾の食の奥深さを見る

日本で修業経験のあるオーナー李依錫さんが腕を振るうパティスリー。パンからケーキ、焼き菓子まで幅広く扱う地元密着店には、客が引きも切らない。「日本とフランスのよい部分を融合したお店。台湾料理の老舗〈欣葉〉とコラボしたしょっぱいケーキや、地元食材を使ったクッキーボックスが台湾らしいですよ」。開店当初から、熊本産の小麦粉や屏東の高級卵など厳選素材を使用。パティシエが足を運んで見つけた台湾の旬の果実や食材がそれらを彩る。

迪化街古早味蚵の蚵嗲

教えてくれた人:千千(大食いYouTuber)

古き良き町並みが残る迪化街で蚵嗲や鹹蜆仔など、台中の味を伝える

名物は、「蚵嗲(オーテ)」という牡蠣の揚げ物。台湾産の小粒の牡蠣を、ニラなどの野菜と一緒にかき揚げのようにして揚げたもので、養殖が盛んな台中以南の沿岸の名物だ。屋台のような店の軒先で、お玉を型代わりに牡蠣入りの生地を成型し、大鍋で手際よく揚げる様子はライブ感たっぷりで、見飽きない。「彰化(台湾中西部)出身の私にとっては、故郷の味。おばあちゃんが好きだった鹹蜆仔(シジミの醤油漬け)も、今や最高のビールのおつまみです」