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台湾の食通7人が案内する台北グルメガイド 〜夕食編〜

グルメの町・台北。久しぶりに訪れたからには、朝・昼・晩はもちろん、ティータイム、散策のお供のおやつ、一日の〆まで、一度もハズすことなくおいしいものが食べたい。今回はそんな観光客のために、台湾が誇る美食家7人が「日本から台北に来た友人を連れていくなら」をテーマに飲食店を厳選。めくるめく台北食い倒れツアー、スタートです!

photo: Koh Akazawa, Keiko Nakajima, Teikoukei, Kazuharu Igarashi, MEGUMI / text: Yuriko Kobayashi, Kei Sasaki, Koji Okano, Ikuko Hyodo, Ai Sakamoto / coordination: Chen Tsuiwen(MPX), Machiko Suzuki, Mari Katakura, Kuo, Taiyen

晚餐
いよいよディナータイム。
老舗のレストラン、台湾式居酒屋「熱炒」、
店頭で選んだ食材が食べられる海鮮料理店
……さあどれにする?

阿隆龜山島現撈海產の海鮮料理

教えてくれた人:江 振誠(シェフ、フードコンサルタント)

獲れたての魚介類を好みの調理法で。シェフたちも唸る、海の男の豪快料理

「台北で最も新鮮な海鮮料理を出す店」とアンドレさんが太鼓判を捺すのが、釣り師のオーナーシェフが営むシーフードレストラン。店先に並ぶ魚介類から好きなものを選び、シェフと相談しながら調理法を決めていくスタイルが面白い。「魚を丸ごと超高温のスモーカーで調理するなど、素材の味をシンプルかつ最大限に引き出す技には毎回脱帽!」。多くのシェフが通ってインスピレーションをもらうことから“シェフの裏キッチン”と呼ばれているのだとか。

捌伍添第 85TDの新中華料理

教えてくれた人:林蓉(飲食コンサルタント)

85TD特製 北京ダックのロースト4,980元。台湾・彰化産のガチョウをスパイスダレに漬け、乾燥し焼き上げる。クリスピーな皮と、しっとりとした腿の味わいを、野菜や甜麺醤、氷梅醤とともに。

台湾屈指のスターシェフが監修、伝統とモダンを融合させた新中華料理

2014年に開業したマンダリン オリエンタル 台北〈雅閣〉で料理長を務め、ミシュラン1ツ星獲得に尽力した謝文シェフ。欧州でも経験を積んだベテランが、台湾の食材を掘り下げ、地方の垣根を越えて仕立てる“新中華料理”を、〈台北101〉85階の特等席で味わえる。「どの料理からも中国各地の食文化への深い理解が感じられ、カクテルも秀逸。絶景と美酒に酔う最高の夜が過ごせます」。ドリンクメニューには各国の銘醸ワインや日本酒も揃う。

明福台菜海產の台湾料理

教えてくれた人:葉怡蘭(エッセイスト)

気さくな雰囲気でも味は一流。名店で台湾料理の奥深さを感じる

「台北でトップレベルの台湾料理の老舗」と葉さんが太鼓判を捺す店。「本来は食堂の料理に分類され、見た目はシンプルなものが多いですが、長年の経験により食材選びから火加減、味わいまでパーフェクト。台湾料理の魅力が存分に発揮されています」。アワビ、フカヒレなど高級食材ずくめの佛跳牆(ぶっとびスープ)が有名だが、白斬雞(ゆで鶏)、野菜山蘇(山蘇という山菜の炒め物)、芋泥球(タロイモの揚げ団子)など、どのメニューも間違いなし。

民生輝牛肉鍋の牛肉鍋

教えてくれた人:陳 小曼(フードデザイナー)

台南のソウルフード、牛肉鍋を台北で。ナチュラルワインと楽しむ新スタイル

東京にも出店しているフージンツリー(富錦樹)が手がける牛肉鍋の専門店。牛肉の産地・台南から冷凍せずに直送した肉は軟らかく、噛むほどに旨味を感じる。「肉や魚の練り物、野菜などの具材を入れ食べるスタイル。牛テールなどを煮込んでとっただしが最高!台南のソウルフードを台北で見事に再現していて、素晴らしい」。オーナーのジェイ・ウーさんが国内のワイナリーと造ったオリジナルのナチュラルワイン(888本限定!)もお忘れなく(→p.31)。

人和園雲南菜の雲南料理

教えてくれた人:徐天麟(美食家)

思わず目移りする多彩なメニュー、優しい味わいの雲南料理

「日本人の口に合う」と評判の老舗雲南料理レストランが、2022年6月に移転。より広々とした空間でリスタートした。「日本人だけでなく海外のお客さんが多いこともあって、どの料理もレベルの高さを感じます。特にキノコを使った料理はバラエティに富んでいて、ここでしか食べられないような一品も」。海のない雲南では川魚を使うのが基本だが、新鮮な海の魚介類で台湾らしさをプラス。新メニューも増えているので、数人で行って賑やかに円卓を囲もう。

The One生活概念店のフレンチ

教えてくれた人:徐 仲(食文化研究者)

食のコンセプトストアがリニューアル。宴会料理とフレンチの融合とは?

2003年創業の人気店が、20年にコンセプトを新たにリニューアル。高雄の人気フレンチ〈トーマス・チェン〉のオーナーシェフ簡天才に、レストランのメニュー監修を依頼した。「シェフがインスパイアされたのは、台湾の宴会料理。フレンチの技法を用いて、伝統の味を新たに表現しています」。1階はケーキなどスイーツの販売も行うセレクトショップ、2〜3階がレストラン、4階がイベント会場。センスのよい設えや器、カトラリーにも癒やされる。

先進海產店のレバー炒め(煎豬肝)

教えてくれた人:千千(大食いYouTuber)

フレッシュな味わいの生ビールに、レバーと揚げ物の黄金のペアリング

「台北に来たらぜひ行ってほしいのが、“熱炒”という居酒屋風のお店です」。なかでも千千さんのお気に入りは〈先進海產店〉。2019年から毎年ミシュランのビブグルマンに輝き、夜遅くまで地元民で賑わう店だ。「店先に並ぶ獲れたての鮮魚をお好みで調理してもらえます。あと私のおすすめは、レバー炒めの煎豬肝と、牡蠣入りのかき揚げ蚵璿。これをつまみにフレッシュな味わいの台湾の生ビール18天台灣生啤酒を飲めば、一日の疲れが吹き飛びます」