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根本宗子のあまい東京記:癒やしの幡ヶ谷で出会う、箱びっしりの黒胡麻

根本宗子が思い出のスイーツを綴る連載。前回の「口に運べば、頭に浮かぶ丸の内のイルミネーション」を読む。

illustration: Michiko Furutani / edit: Emi Fukushima

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第10回〈ふるや古賀音庵〉の「古賀音だんご 黒胡麻和三盆」

〈ふるや古賀音庵〉の 「古賀音だんご 黒胡麻和三盆」

伝統的な和菓子を手がける名店の看板商品。もっちり軟らかなお団子と黒胡麻の香ばしい香り、和三盆糖の優しい甘味が特徴。1箱(5本入り)1,080円(渋谷・幡ヶ谷本店 TEL:03-3378-3003)。

癒やしの幡ヶ谷で出会う、箱びっしりの黒胡麻

「古賀音だんご 黒胡麻和三盆」に初めて出会った時、子供だった私は胡麻団子だと聞かされて喜んで箱を開け、お団子の見当たらない光景にびっくりして興奮しました。さらに、胡麻の中に手を入れると、中から可愛いふわふわのお団子が出てきて、さらに興奮しました。

和菓子が幼少期から大好きで、私をびっくりさせようと母が買ってきた一品でした。お団子を食べ終わっても、まだ胡麻がびっしり箱に残っていて、それをスプーンですくって食べたり、牛乳に入れて飲んだり、かき氷にかけたり、楽しみ方を自分で考えるのも楽しかった記憶があります。

胡麻のお菓子が昔から大好きなのですが、自分のベスト胡麻団子がこの黒胡麻和三盆。ガヤガヤした渋谷から少し離れた幡ヶ谷にあるお店は、渋谷エリアで疲れた時の癒やしスポット。もちもちのどら焼きも本当においしくて、現在私は稽古場の自分の演出卓に毎日このどら焼きを常備しています。

本当は毎日胡麻団子を食べたいのですが、さすがにこれを稽古場で開くと胡麻だらけになってしまうので、自宅のこぼしてもいい机で豪快に食べるのが至福の時間。お正月、ゆっくりお茶と一緒に食べようと思います。

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