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根本宗子のあまい東京記:品が良くて特別な、動物形ケーキと広尾の街?

根本宗子が思い出のスイーツを綴る連載。

illustration: Michiko Furutani / edit: Emi Fukushima

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第1回〈ルコント〉の「スウリー」

ルコント_スウリー

日本初のフランス菓子専門店として1968年に創業した〈ルコント〉。看板商品の仔ネズミ形シュークリームは、バニラ香るカスタードクリームが特徴。562円(日本橋三越店 TEL:03-3241-3311)

品が良くて特別な、動物形ケーキと広尾の街?

〈ルコント〉本店である広尾店は昨年10月に幕を閉じてしまったのですが、私にとって20年近い思い出があるケーキ屋さん。この可愛らしい見た目、魔法のお菓子みたい。動物の形をしたケーキは多く存在しますが、日本生まれの動物のケーキってどこかボテッとしてて、「不細工可愛い」みたいな愛らしさのものが多いように思います。

でも〈ルコント〉の「スウリー」はまるでヘンゼルとグレーテルに出てくるような見た目。初めて出会った時、ときめきが止まりませんでした。幼い頃の私がこのケーキを食べられるのは友人宅を訪れる際、手土産として母が買ってくれる時だけでしたが、大人になって自分で買い物に行けるようになってからはいいことがあった日に何度も広尾店に通いました。

いいことがあった時にちょっと贅沢をしに行く場所、広尾。でも、今回この連載のために調べていたら広尾店ができたのは2013年、私が幼い頃通っていたのは六本木の店舗だったということがわかり、子供の時の記憶って当てにならないなと思ったのと同時に、なんだか本当にお菓子の国に迷い込んだような気持ちになりました。六本木店は夢の中の場所のような気分なのでした。

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