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〈ミュージックバー道〉店主に聞く、店の個性際立つ夏のレコード5枚とその理由

一面のレコード棚から次にかける一枚を嗅ぎ分けて選び出す。その選曲からは店の哲学や店主の人生までもが浮かび上がってくる。〈ミュージックバー道〉店主・大久保裕文さんが選ぶブルータスのための夏のプレイリスト。

text: Kanta Hisajima

ミュージックバー道(東京/湯島)

店主:大久保裕文

Q1

2021年7月1日最初にかけたい一枚は?

A1

『My Landscapes』池間由布子

神田の〈試聴室〉で観たライブで歌声に惚れ込み、店でライブをしてくれるように。フォークサウンドに乗せる澄んだ歌声が紡ぐのは、日常を切り取った素直な言葉。日本のニコとも言える、唯一無二のシンガーです。

『My Landscapes』池間由布子
『My Landscapes』池間由布子

Q2

店に絶対になければならないお店を象徴する一枚は?

A2

『The Fruit Of The Original Sin』V.A.

ニューウェーブからポストパンク、ミニマルミュージックまで。40年前のヨーロッパのアンダーグラウンドシーンを凝縮した超大作。後に知ることになる現代音楽のベースは、このアルバムから学びました。

『The Fruit Of The Original Sin』V.A.
『The Fruit Of The Original Sin』V.A.

Q3

音楽に夢中になるきっかけとなった一枚は?

A3

『Pictures At An Exhibition』Emerson、Lake & Palmer

キーボードに剣を刺したり、シンセサイザーを股に挟んで弾いたり。テレビで観たライブパフォーマンスが衝撃的でした。その中継がきっかけで、好きな音を探すようになった気がします。

『Pictures At An Exhibition』Emerson、Lake & Palmer
『Pictures At An Exhibition』Emerson、Lake & Palmer

Q4

最近手に入れた一枚は?

A4

「Dai Dei D-Ya」Cioccolata

ボーカルのかの香織をはじめ後に PINKとして活躍する渋谷ヒデヒロ、岡野ハジメなどが在籍していた伝説的ジャパニーズ・ニューウェーブバンド。オペラ調でもあり、パンクも効いている、表現の可能性を広げた一枚。

「Dai Dei D-Ya」Cioccolata
「Dai Dei D-Ya」Cioccolata

Q5

夏に飲みたいドリンクと一緒に聴きたい一枚は?

A5

『Music Fuh Ya'』Taj Mahal

カリブ海に浮かぶトリニダード島出身の音楽家が多数参加し、スティールドラムのビートが冴えるサウンドは、まるで南の島を巡っているかのよう。躍動感溢れるグルーヴを体感すれば、そりゃあビールが欲しくなる。

『Music Fuh Ya'』Taj Mahal
『Music Fuh Ya'』Taj Mahal